概要情報
事件名 |
神谷商事 |
事件番号 |
東京地労委 平成14年(不)第123号
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申立人 |
労働組合東京ユニオン |
被申立人 |
神谷商事株式会社 |
命令年月日 |
平成15年12月16日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、平成14年度夏期及び年末一時金並びに賃金引上げに関する団体交渉において、(1)各一時金及び賃上げをゼロ回答とした根拠を具体的に説明せず、組合が要求した財務諸表等を提示しなかったこと、(2)交渉員は全権を委任されているとして取締役の出席を断ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、平成14年度各一時金及び賃金引上げに関する誠実団交応諾及び文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人神谷商事株式会社は、申立人労働組合東京ユニオンが申し入れた平成14年度夏期 一時金、同年末一時金及び賃金引上げにかかる団体交渉について、被申立人会社の回答の根 拠を具体的に説明するとともに、必要な財務資料を提示し、或いは回答の根拠となる具体的 な数値を示すなどして、誠実に応じなければならない。 2 被申立人会社は、本命令書受領後1週間以内に、55cm×80cm(新聞紙2頁大)の白紙に、 下記内容を楷書で明確に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなけれ ばならない。 記 年 月 日 労働組合東京ユニオン 執行委員長 X1 殿 神谷商事株式会社 代表取締役 Y1 記 当社が、貴組合の申し入れた平成14年度夏期一時金、同年末一時金及び賃金引上げにか かる団体交渉に誠実に応じなかったことは、東京都地方労働委員会において不当労働行為に あたると認定されました。 今後はこのような行為を繰り返さないよう留意します。 3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければな らない。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
会社は、賃金引上げ及び一時金の回答について、組合が納得し得る十分な説明をしているとは到底認められず、また、会社の経営状態や業績等も賃金引き上げ等に影響を与えていることが会社側の発言から認められるにもかかわらず、財務資料を組合に提示することは意味がないとする会社の主張は合理性を欠くものであることから、会社が平成14年度各一時金及び賃金引上げに関する団体交渉において誠実に対応したとは認められず、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為とされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
組合は、常勤取締役が団体交渉に出席することを求めているが、本来、団体交渉にしかるべき交渉権限を有する交渉員として具体的に誰を出席させるかは、原則として当事者の判断に委ねられているところであり、本件では、会社自体が組合に対する対応を変えれば、会社側交渉員として必ずしも取締役が出席しなくとも、会社の回答の根拠の具体的説明を十分行い、かつ賃金引上げ等に必要な財務資料を提示等するなどして誠実に団体交渉に応じることを命じれば足りるとされた例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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