労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西尾家具工芸社 
事件番号  大阪地労委 平成13年(不)第33号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
申立人  全国金属機械労働組合港合同西尾家具工芸分会 
被申立人  株式会社西尾家具工芸社 
命令年月日  平成16年 1月23日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、事前協議合意約款を遵守せず、「毎年の有期嘱託雇用契約書は、形式的なものにすぎず、実際は継続雇用である」との従前からの労使確認に反して、雇用契約期間満了を理由に組合員2名を一方的に雇止めしたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、組合員2名との嘱託雇用契約の締結、原職復帰、バックペイ及びこれらの不誠実団交等に関し文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1及び同X2に対し、それぞれ平成13年5月31日及び同年6月19日以降の期間に係る嘱託雇用契約を締結して両人を原職に復帰させるとともに、それぞれの日から就労させるまでの間、同人らが就労していれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない。
           記
                           年 月 日
全国金属機械労働組合港合同
 委員長 X3 様
全国金属機械労働組合港合同西尾家具工芸分会
 分会執行委員長 X4 様
                     株式会社西尾家具工芸社
                      代表取締役 Y1
 当社が、貴組合員X1氏に対し平成13年5月30日限りで嘱託雇用契約期問満了を理由に契約を更新しなかったこと、及び同X2氏に対し同年6月18日限りで嘱託雇用契約期間満了を理由に契約を更新しなかったこと、並びにこれらのことに関し、貴組合との間に締結された協定に基づく事前協議を行わず、また、貴組合からの団体交渉の申人れに対し誠実に応諾しなかったことは、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判定の要旨  1106 契約更新拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員2名との本件嘱託雇用契約は期間の定めのない雇用契約と同視しうるものであり、会社が同契約を更新せずに終了させることは実質的な解雇に相当し、これは会社と組合が締結した協定書の労働条件の変更に当たるから、会社が、同協定書に基づく本件事前協議同意約款による協議を行うことなく、組合員2名に契約を更新しない旨通知したことは、組合を無視した行為であり、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2240 説明・説得の程度
2302 労務管理・労使関係
会社は、本件嘱託雇用契約期間が満了する旨通知した後に組合が申し入れた団交に対しては、団体交渉に応じてはいるものの、自らの主張を一方的に説明し、更新に係る事項については団交事項ではないことを繰り返すのみであることから、実質的な団交に応じているとはいえず、かかる会社の不誠実な対応は、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1106 契約更新拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件嘱託雇用契約は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない実態にあったにもかかわらず、会社は、組合に対しては形式的に団交には応じてはいるものの、本件事前協議同意約款を遵守することなく、また、組合員2名に対しては、合理性を見いだし得ない理由に基づき、両名の契約を更新しなかったものと判断され、これに当時の労使関係が悪化していた状況を併せ考えると、会社は、両名が組合員であるが故に、また組合弱体化を企図して両名を排除しようとしたとみるのが相当であり、かかる会社の行為は、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  家具・装備品製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

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