労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西尾家具工芸社 
事件番号  大阪地労委 平成12年(不)第77号 
大阪地労委 平成13年(不)第21号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
申立人  全国金属機械労働組合港合同西尾家具工芸分会 
被申立人  株式会社西尾家具工芸社 
命令年月日  平成16年 1月13日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)場所、開始時間、参加人数など従前と異なる開催条件に固執して、就業規則の変更に関する団体交渉に応じなかったこと、(2)平成12年末一時金に関する団体交渉に、経営状況の開示を拒否するなど不誠実に対応した上、一方的に支給したこと、(3)組合への誹謗・中傷を繰り返すなど、反組合的感情を煽ったこと、(4)組合活動に参加するため早退した組合員の賃金を労使間の確認事項に反してカットしたこと、(5)組合員を新入社員歓迎会等の会社主催行事に招待しなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)誠実団交応諾、(2)協議が整うまでの間の組合主催会議への出席に対する賃金カットの禁止、(3)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、団体交渉を開催するための前提である開始時刻、開催場所及び参加人数の諸条件並びに仮に就業時間内団体交渉を行う場合の賃金カットの有無について、申立人と速やかに誠意をもって協議しなければならない。
2 被申立人は、平成12年10月17日付け抗議文による申入以降、申立人から数次にわたって申入れのあった就業規則の変更に関する団体交渉に、速やかに誠意をもって応じなければならない。
3 被申立人は、上記2の団体交渉における協議が整うまでの間、申立人組合の主催するブロック会議に組合員が遅れずに出席できるよう、平成11年5月25日に労使間で確認した条件により早退することを認め、それに対して賃金カットをしてはならない。
4 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
           記
                    年 月 日
全国金属機械労働組合港合同
委員長 X1 様
全国金属機械労働組合港合同西尾家具工芸分会
分会執行委員長 X2 様
                  株式会社西尾家具工芸社
                   代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
           記
(1)平成12年10月17日以降、貴組合から数次にわたって申入れのあった就業規則の変更に関する団体交渉申入れに対して、団体交渉の開催条件に固執し、事実上、団体交渉の開催を不可能にしたこと。
(2)平成12年12月28日、同13年1月16日及び同年2月21日に開催された平成12年年末一時金を議題とする団体交渉に対し、不誠実な対応をしたこと。
(3)上記(1)及び(2)に加えて、就業時間内団体交渉の参加に対し賃金カットを適用したこと等を通じて、貴組合に団体交渉の開催条件を事実上強要したこと。
(4)平成12年12月28日の団体交渉、平成13年1月9日の大阪府地方労働委員会の調査、及び平成13年1月19日の貴組合主催のブロック会議に、それぞれ組合員が出席するため早退したことに対して、就業規則及び労使間の確認事項に違反して、一方的に賃金カットを実施したこと。
5 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2211 団交ルールの先議
2212 交渉の場所・時間
2213 交渉人数
2302 労務管理・労使関係
4421 文書掲示等を命じた例
会社の提案した就業規則の変更は義務的団交事項であるから、会社は、組合からの就業規則の変更に係る団交申入れに応じる義務があったにもかかわらず、組合との間で調整可能な団交開催条件の問題を意図的に調整できなくして、事実上団交の開催を不可能にしたと解され、かかる会社の行為は、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2240 説明・説得の程度
組合には、年末一時金の金額の根拠として、会社の経営資料を求めることにつき相当の理由があるとみることができるが、会社は経営資料の開示を経営権の問題であるとして拒むだけでそれ以外に具体的に年末一時金の根拠を示すなど努力を尽くしたと判断することはできないから、会社は誠実に団交に応じていたものと判断することはできず、かかる会社の行為は、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2900 非組合員の優遇
会社は、団交開催条件に固執して団交拒否や不誠実な団交を行ってきており、団交開催条件につき労使間で協議が進まないために一時金の合意が行われないまま、非組合員に先行支給することで組合に一時金の妥結を一方的に迫る等会社の指定する団交開催条件に従わざるを得ない状況に組合を追い込んだものといえ、かかる会社の行為は、団交開催条件について自らの意図するとおりに組合を従わせることにより、組合の弱体化を企図したもので、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1604 その他
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
就業規則上、H工場では賃金カットを実施できないにもかかわらず、会社が当該組合員が管理職不在時に届出をしたことを口実に一方的賃金カットを実施したことは、組合員に不利益を与え、もって組合の弱体化を図ったとみるのが相当であって、本件賃金カットに係る会社の行為は、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  家具・装備品製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

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