概要情報
事件名 |
綿屋田島酉二郎商店 |
事件番号 |
中労委 平成14年(不再)第4号
中労委 平成14年(不再)第5号
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再審査申立人 |
東京東部労働組合たじま支部(14年5号) |
再審査申立人 |
東京東部労働組合(14年5号) |
再審査申立人 |
有限会社綿屋田島酉二郎商店(14年4号) |
再審査被申立人 |
有限会社綿屋田島酉二郎商店(14年5号) |
再審査被申立人 |
東京東部労働組合(14年4号) |
再審査被申立人 |
東京東部労働組合たじま支部(14年4号) |
命令年月日 |
平成15年 9月 3日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合員2名を出勤停止処分をしたこと、(2)同出勤停止処分等を議題とする団体交渉申入れに対し、労使関係を認めて応じることはできないとしたこと、(3)組合支部に対して、組合事務所及び組合掲示板を貸与しなかったこと等が不当労働行為であるとして争われた事件で、初審兵庫地労委は、会社に対し、(1)出勤停止処分の取消し及びバック・ペイ、(2)団体交渉の応諾、(3)組合事務所の貸与を命じた。会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令を一部変更し、組合事務所の貸与命令を文書手交に改め、その余の再審査の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文第1項中「4月16日付厳重注意及び同年」を削る。 Ⅱ 初審命令主文第4項を5項とし、第3項を第4項とし、第2項を第3項とし、第1項の次 に第2項として次のとおり加える。 2被申立人会社は、組合員X1に対して、退職を促すことにより、申立人組合及び同支部 の運営に支配介入してはならない。 Ⅲ 上記Ⅱで改めた初審命令主文第3項の記以下を次のとおり変更する。 記 年 月 日 東京東部労働組合 執行委員長 X2 殿 東京東部労働組合たじま支部 執行委員長 X3 殿 有限会社 綿屋田島酉二郎商店 代表取締役 Y1 当社が、貴組合に対し団体交渉を申し入れるなどして協議を行うことなく、平成10年3月 6日から同月13日にかけて亀戸従業員休憩室に掲示されていた組合ビラを撤去したこと、貴 組合員X1氏に対し、組合ビラ配布に関して同年5月9日付訓告処分を行ったこと及び退職 を促したことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると中央 労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 Ⅳ 上記Ⅱで改めた初審命令主文第4項中「第2項」を「第3項」に改める。 Ⅴ その余の本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
組合が組合ニュース等を掲示したり配布することは日常的な組合活動の基本とも言えるものであるから、本件ビラ掲示・配布が単に就業規則に違反していることのみをもって直ちに不当とすることは適当でなく、ビラ掲示・配布の経緯、時期・背景、態様、内容及び会社が被る業務運営上の支障等諸々の具体的状況に照らして判断することが必要であり、本件ビラ掲示・配布は、全体的にみると、衛生管理上の観点から問題がある厨房でのビラ配布を除き、態様や内容に特に不当なものはなく、また、会社で業務運営上の支障が発生した事実もみられないこと、さらに、ビラ掲示・配布に関する労働協約が合意に到らなかった経緯、会社と支部が激しく対立する労使関係にあったこと等の諸事情を総合的にみれば、本件ビラ掲示・配布は、組合活動として不当なものとはいえないとされた例。
2400 その他
3106 その他の行為
本件ビラ掲示は組合活動として不当なものとは認められないが、会社は相当な手続と方法をもってすればビラの掲示・配布を是正することは許されるところ、本件ビラのうち、平成10年3月9日及び13日に掲示したビラについては、事前の注意通告なく、各々同日に撤去していることが認められ、会社が、団体交渉の場で支部と十分に協議を尽くすことなく、右対応をしたことは、いささか性急かつ一方的であって相当な手続と方法をもってしたとは言えず、時間外手当問題で支部と会社が激しく対立していた時期に、このような行動をとったことは労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
3500 処分の時期
3700 使用者の認識・嫌悪
会社がビラ配布者であるX1に対し事前に厳重注意によって警告を発したとはいえ、それまではなかった訓戒処分を行ったことは、時間外手当問題で支部と会社が激しく対立していた時期に、X1が支部結成当時から支部書記長の地位にあり、同人が活発に組合活動をしていたことを嫌悪して不利益に取扱うとともに、支部の弱体化を企図したものと言わざるを得ず、支部の運営に対する支配介入に該当するが、会社の厨房でのビラ配布に対する厳重注意は、厨房の衛生管理の重要性に鑑み行った業務上の注意ないし指導とみられ、就業規則上の処分といった不利益性はないことから不当とはいえないとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
3500 処分の時期
Y2社長室長の発言は、会社役員の立場にある同室長が、会社と組合が時間外手当、ビラ掲示等の問題で激しく対立していた時期に支部書記長のX1を会社から排除することを意図して行った発言であり、かかる発言は、係争中の問題を和解によって解決するための提案とみることはできず、X1に対し退職を促す行為と評価すべきであって、組合の運営に対する支配介入であるとされた例。
1300 転勤・配転
X1書記長の配置転換について、一部門の閉鎖に伴い新規部門を立ち上げ、そこへの必要人員を配置するとの会社経営方針の変更によって影響を受けた者は、支部組合員であるX1一人だけではなく、他の亀戸店正社員2名も同様の状況であったと認められ、また、同センター配転後のX1の作業量も、支部組合員であるX1だけが不公平な処遇を受けているということはできないことから、X1に対する配転は、不当労働行為には当たらないとされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2004年1月10日 1021号 25頁 
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