労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  川越観光自動車 
事件番号  中労委 平成13年(不再)第32号 
再審査申立人  川越観光自動車株式会社 
再審査被申立人  女性ユニオン東京 
再審査被申立人  全労協全国一般東京労働組合 
命令年月日  平成15年 6月18日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、30余年にわたり観光バスガイドとして勤務してきた社員X1を事務員へ配置転換したところ、会社がX1の原職復帰を不当に拒否し、その他差別的な不利益取扱いをし、団交において不誠実な対応をしていることが不当労働行為であるとして争われた事件である。初審埼玉地労委は、X1の処遇問題について、必要な資料を提示するなど誠意をもって団交に応じること及び文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は初審命令を一部変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。
1 再審査申立人川越観光自動車株式会社は、今後、X1の業務内容等処遇に変更がある場合 には、再審査被申立人女性ユニオン東京との間の平成13年5月9日付議事録確認書の趣旨に 則り、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。
2 再審査被申立人女性ユニオン東京のその余の本件救済申立てを棄却する。
3 再審査被申立人全労協全国一般東京労働組合の本件救済申立てを棄却する。
Ⅱ その余の再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2251 一方的決定・実施
2304 経営事項
本件旅行業の廃業は、X1の労働条件に密接に関連しており、その限りにおいて、廃業に至る経緯や理由等について団体交渉において説明すべきであったと言わざるを得ず、また、先行き不透明な経済環境の中にあっても、会社の業績の変化、収支状況等を、適宜の資料を示すなどして組合側の理解や納得が得られるよう説明すべきであったから、団体交渉継続中に行われた旅行業の廃業について、事前に説明せず、かつ事後の団体交渉においても十分な説明をしなかったことは、団体交渉における当事者間の信義、ひいては誠実応諾義務に反するものと言わざるを得ず、不当労働行為とされた例。

2307 その他
3701 他組合等との関係
従前からX1が加入しているK労働組合は、本件配置転換その他の組合員X1の処遇問題については、会社との団体交渉事項として取り上げず、もっぱらX1が後に加入した組合及び東京労組が会社と交渉してきた経緯があるから、会社は、X1の処遇問題について、K労働組合とのユ・シ協定にかかわらず、同組合に対する対応とは別個に、組合に対して誠実に対応し、交渉する義務を負うものとされた例。

4505 その他
会社は、組合に何ら説明することなく旅行業を廃業したり、観光バス事業の廃止についてはK労働組合に提案しながら、組合にはその機会があったのに提案せず、組合から申入れを受けて初めて提案したり、議事録確認が行われた後にも就業規則等の変更を一方的に行おうとし、当委員会においても、X1を含む従業員の労働条件や処遇については、多数組合であるK労働組合との合意、了解を得ていれば組合に対して通告や説明を行わなかったとしても労働組合法の趣旨を損なわない旨の主張を維持していることからすれば、会社が、今後も、X1の処遇問題に関して同様の対応を繰り返すおそれは、なお存続していると言わざるを得ず、本件において救済の利益はなお存続しており、初審命令主文を変更して今後X1の処遇に変更がある場合は誠意をもって団体交渉に応じる旨命じることが本件の労使関係にとって相応しいものとされた例。

4831 組織変更
X1が加入する組合が東京労組から脱退したことにより、東京労組は救済利益を失っており、東京労組に対する救済申立ては棄却を免れないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(バス専業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集126集874頁 
評釈等情報  中央労働時報 2003年9月10日 1017号 13頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼玉地労委 平成10年(不)第7号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成13年 6月14日 決定 
 
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