概要情報
事件名 |
日南町社会福祉協議会 |
事件番号 |
鳥取地労委 平成15年(不)第2号
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申立人 |
日南町社会福祉協議会職員労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人日南町社会福祉協議会 |
命令年月日 |
平成15年12月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、法人が、組合とその上部団体との連名による一連の団体交渉の申し入れに対し、何ら回答しないという態度に終始していること、また、団体交渉における交渉委員数及びその構成に係る提案に組合が応じないこと、期末手当の支給に際して導入した評価制度は管理運営事項であり、団体交渉事項とはならないことなどを理由として団体交渉を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)誠実団交応諾、(2)文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人社会福祉法人日南町社会福祉協議会は、申立人日南町社会福祉協議会職員労働組 合が平成14年12月19日及び平成15年3月17日付で申し入れた団体交渉事項について、速やか に誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 2 被申立人社会福祉法人日南町社会福祉協議会は、下記の文書を申立人日南町社会福祉協議 会職員労働組合に速やかに手交しなければならない。(大きさはA4判とし、年月日は手交 の日を記載すること。) 記 年 月 日 日南町社会福祉協議会職員労働組合 執行委員長 X1 様 社会福祉法人日南町社会福祉協議会 会長 Y1 当法人は、貴組合から平成14年12月19日及び平成15年3月17日付で申入れのあった団体交 渉について、貴組合と団体交渉を行わなかったことは、鳥取県地方労働委員会によって不当 労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにします。 3 申立人のその余の本件救済申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
2242 回答なし
組合の団体交渉申入れに対し、何ら回答もせず、また、何故交渉に応じられないかなどにつき十分に説明、説得しなかった法人の対応は誠実な対応であったとはいえないとされた例。
2213 交渉人数
団体交渉における交渉委員は、その都度の交渉事項の内容に応じて、当該団体交渉の円滑な進行が阻害されるおそれのない限り、当事者それぞれが適切と考えるものを当てることが原則であり、理事会の決定であることなどをもって、当事者双方が同数でなければならないとしたり、交渉委員の所属を指定し、組合がこれに応じないことを理由として団体交渉を拒否することは許されないと判断された例。
2249 その他使用者の態度
団体交渉申入書の記載の誤記については容易に理解することができ、誤記があることをもって団体交渉を拒否する正当な理由とはなり得ず、また、申入書を法人のY2局長不在時に机上に置いておくことも、Y2局長の日常の書類決裁等の状況に照らせば、とり立てて咎め立てすることにはあたらず、これをもって団体交渉を拒否する正当な理由にはならないと判断された例。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
期末手当の支給は、労働条件の重要な要素の一つである賃金、一時金に関することであり、期末手当への評価制度の導入は、従来の支給方法を変更して導入したものであるから、法人は、申し入れられた団体交渉に応じて、導入の目的、必要性、基準等について、組合に説明、説得を行い、組合の主張に耳を傾けることが使用者としての当然の責務であり、これを拒む理由はないとされた例。
2245 引き延ばし
法人は、交渉を「拒否」しているのではなく、信頼関係が回復できないことによる「延期」である旨を主張するが、信頼関係が回復できていないとする点については、判定要旨1~4のとおり団体交渉を拒否する正当な理由とはなり得ず、このような拒否理由に固執している状態を「延期」と言い換えたところで詭弁にすぎないのであって、こうした法人の態度こそが、団体交渉拒否の不当労働行為に該当するとされた例。
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業種・規模 |
社会保険、社会福祉 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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