労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  川崎重工業 
事件番号  兵庫地労委 平成 6年(不)第5号 
申立人  個人X1外15名 
被申立人  川崎重工業株式会社 
命令年月日  平成15年12月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、組合内少数派グループである申立人らに対し、昇進・昇給において不利益取扱いをしたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)申立人らの職能区分・職能等級の是正、(2)賃金、手当及び退職金の差額支払い(年5分加算)、(3)昇進・昇給における不利益取扱いの禁止を命じ、その余の申立は却下または棄却した。 
命令主文  1 被申立人川崎重工業株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X  6、同X7、同X8、同X9、同X10、同X11、同X12、同X13、同X14、同X15及び同 X16に対し、それぞれ、平成5年11月1日付で、次表のとおり職能区分及び職能等級として 取り扱わなければならない。
            表(略)
2 被申立人川崎重工業株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X  6、同X7、同X8、同X9、同X10、同X11、同X12、同X13、同X14、同X15及び同X 16に対し、前項による是正後の平成5年11月1日以降に各人に支払われるべき基準賃金及び 期末手当と同日以降に各人に既に支払われた基準賃金及び期末手当との差額を算定し、その 差額に年5分の割合による金員を加算して、各人に支払わなければならない。
3 被申立人川崎重工業株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5及び同X 6に対し、第1項による是正後の各人に支払われるべき退職金と各人に既に支払われた退職 金との差額を算定し、その差額に年5分の割合による金員を加算して、各人に支払わなけれ ばならない。
4 被申立人川崎重工業株式会社は、申立人X7、同X8、同X15及び同X16に対し、同人ら の各職場における正当な労働組合活動を理由として、昇進及び昇給において、不利益取扱い を行ってはならない。
5 申立人X9、同X10、同X11、同X12、同X13及び同X14の、被申立人川崎重工業株式会 社に対する今後、労働組合活動を理由とする昇進、昇給及び各種研修の差別をしてはならな いことの申立ては、これを却下する。
6 その余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  0120 政治(党)活動
0126 反執行部・分派活動
0200 宣伝活動
たとえ政党名で発行されたものであっても、職場における労働条件の維持改善や、労働者の地位向上に関する事項を主たる内容とするビラであれば、そのビラを配布する行為については、正当な組合活動に該当するというべきであり、また、申立人らが積極的に組合の機関決定に反する活動を行っていたと認めるに足る疎明はないから、申立人らの活動は、全体として労組法第7条1号の保護を受けるべき正当な行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
1202 考課査定による差別
3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、申立人ら各人が少数派グループに所属していることを認識し、会社の推進する労務施策に反対し批判する申立人らの行動に対し嫌悪の情を抱いていたものと推認できること、申立人らは他の従業員と比較して、集団的に著しく低い職能区分・等級に格付けされており、会社が申立人らの職能区分・等級を低く据え置いた合理的理由を疎明したとは言い難いことからすると、会社は、申立人らの諸活動を嫌悪して、申立人らの職能区分・等級を低く据え置き、その結果、申立人らの基準賃金、期末手当及び退職金に格差を生ぜしめて不利益取扱いを行ったものと推定せざるを得ず、このことは労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。

4415 賃金是正を命じた例
4418 継続する行為を認めた例
4419 現存格差を一挙に是正した例
救済申立てが適法になされている限り、その申立ての当否を判断するに際して、労組法第27条第2号との関係で審査の範囲が制限されることはないから、本件のように、長期にわたって累積した差別を解消し、当該賃金を適正な金額に是正するためには、過去における会社の行為であっても審査の対象となり、除斥期間との関係で審査の対象を限定すべき理由はないとされた例。

4415 賃金是正を命じた例
会社の職能等級制度は、基本的に人事考課に基づく評価を反映して運用されているものであり、委員会が申立人各人の適正な人事考課を判定し、それに基づいて各人の能力と会社への貢献度等を考慮した妥当な職能区分・等級を判定することは困難であるが、同制度は年功序列的に運用されているので、少なくとも同勤続年数の現業男子従業員の80%が格付けされている下位ランクの職能区分・等級まで是正を命じることは可能であり、会社の人事考課上の裁量権があることを考慮すると、そこが限度であるとして、この基準に基づいて是正を命じた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
救済するために必要な措置として、基準賃金、期末手当及び退職金の各差額金が支払われるべきであった日から完済の日まで年5分の割合による金員を追加して支払うよう命じた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

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