労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  常滑荷役 
事件番号  愛知地労委 平成11年(不)第6号 
申立人  個人X4(X3の承継人) 
申立人  個人X3 
申立人  全日本建設交運一般労働組合名古屋南地域支部 
申立人  個人X1 
申立人  個人X2 
被申立人  有限会社常滑荷役 
命令年月日  平成15年11月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合らの団体交渉申入れに対し誠実に応じなかったこと、(2)夏期一時金の支給時期を組合員とそれ以外の従業員との間で差別的に取り扱ったこと、(3)組合員に対して組合からの脱退を条件に夏期一時金を支払うなどと発言して脱退勧奨を行ったこと、(4)組合員を解雇したこと、(5)組合員に対して配車差別を行い賃金を減少させたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)夏期一時金に関する誠実団交応諾、(2)組合からの脱退を条件として一時金を支払うなどの発言をしての脱退勧奨の禁止、(3)X3の年末一時金相当額の支払、(4)文書交付を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合が申し入れた平成11年夏期一時金に関する要求を議題とする団体 交渉に誠実に応じなけらばならない。
2 被申立人は、申立人組合の組合員に対し、申立人組合からの脱退を条件として一時金を支 払うという趣旨の発言をすることにより、申立人組合からの脱退を勧奨してはならない。
3 被申立人は、X3の平成11年年末一時金の相当額として15万円を承継人X4に対して支払 わなければならない。
4 被申立人は、申立人組合に対し、下記内容の文書を本命令交付の日から7日以内に交付し なければならない。
                     記
  当社が行った次の行為は、愛知県地方労働委員会において、労働組合法第7条に該当する 不当労働行為であると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
  (1)平成11年4月5日付の賃金に関する要求及び平成11年6月18日付の平成11年夏期一時金   に関する要求を議題とする団体交渉に誠実に応じなかったこと。
  (2)平成11年9月13日付で申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。
(3)平成11年夏期一時金の支給時期を組合員とそれ以外の従業員との間で差別的に取り扱っ   たこと。
  (4)組合員に対して組合からの脱退を条件として一時金を支払うという趣旨の発言をしたこ   と。
  (5)X3組合員を平成11年9月30日付で解雇したこと。
                                平成 年 月 日
   全日本建設交運一般労働組合名古屋南地域支部
   執行委員長  X5  殿
        有限会社常滑荷役
         代表取締役 Y1
5 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
2250 未妥結・打切り・決裂
2300 賃金・労働時間
組合からの賃金及び夏期一時金に関する要求に対し、会社は、自らの回答の根拠を示すなどして十分な説明をせず、また、組合から具体的な説明を求められても十分な説明をせず、理由もなく一方的に短時間で打ち切るなどしたが、こうした会社の交渉態度は不誠実なものといわざるを得ず、労組法第7条第2号にあたるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
会社社長の、組合を脱退したら夏期一時金を支払うとの発言は、直接的脱退を勧奨するものとはいえないが、妥結しなければ組合員には夏期一時金は支払わないという姿勢を会社が示している状況の中での発言であることを考えれば、組合からの脱退が夏期一時金支いの条件であるとみるのが相当であるので、このような発言は、間接的に組合からの脱退を勧奨するものであり、労組法第7条第3号にあたるとされた例。

1107 その他
3500 処分の時期
3700 使用者の認識・嫌悪
会社専務が、分会書記長であるX3に解雇する旨を伝えた翌日の団体交渉において、社長がわざわざ解雇したことを伝え、団体交渉終了直後、分会員に「解雇通達」と題する書面を交付していることから、解雇が組合の存在を意識してなされたものであることがうかがわれること及び分会結成以来の労使関係が必ずしも良好とはいえなかったことを併せ考えれば、X3の解雇は会社が同人の組合活動を理由に解雇したものとみるのが相当であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
1302 就業上の差別
X1ら3名の配車について、同3名の賃金が分会結成後に減少していたことは認められるが、これは会社の部門における売上の減少並びにX2及びX3の個人の事情により生じた配車の影響であって、配車差別により生じたものではないとされた例。

2300 賃金・労働時間
4505 その他
会社は、本件申立て後に団体交渉に応じており、組合との協議を経て、賃金体系の変更にも応じているから、平成12年夏期一時金に関する部分を除いては団交応諾を命じる必要ないとして、同一時金に関する誠実団交応諾及び文書交付を命じた例。

2300 賃金・労働時間
4505 その他
平成11年夏期一時金の支給差別について、会社は本件申立て後に同一時金を仮払していることから相当額の支払いを命じる必要はないが、支給差別が生じた経過も考慮し、誠実団交応諾及び文書手交を命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
4838 申立ての承継
X3の解雇について、組合らは同人の平成11年年末一時金の支払を求めるが、会社には一時金の算定基準はなく、会社の経営状況によりその都度決められていたから、同人ら組合員3名の過去の一時金支給額、組合員2名の当該一時金支給額等を考慮して15万円の支払をX3の承継人(母)へ命じた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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