概要情報
事件名 |
時事通信社 |
事件番号 |
東京地労委 平成11年(不)第101号
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申立人 |
個人X1 |
申立人 |
時事通信労働者委員会 |
被申立人 |
株式会社時事通信社 |
命令年月日 |
平成15年 9月16日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、昭和61年に職能資格賃金制度を導入する際、組合員X1を低位に格付けした上、平成11年10月の申立てに至るまでの間、昇格させなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、昭和61年4月から平成10年5月までの賃金差別に係る申立ては却下し、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てのうち、申立人X1の昭和61年4月ないし平成10年5月の賃金差別に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5201 継続する行為
使用者による賃金額決定とこれに基づく毎月の賃金支払とは、一体として一個の行為をなすものと解され、決定に基づく賃金が支払われている限りその行為は継続することになるから、本件において会社が、平成10年4月、X1に対し56歳到達社員の基本給を決定し、これに基づき同年6月以降、毎月当該基本給を支給しており、申立日現在(11年10月15日)においても、当該基本給の支給行為は継続中であるから、10年6月以降のX1の給与等に係る申立ては適法であるとされた例。
5200 除斥期間
5201 継続する行為
昭和61年4月から平成10年5月までのX1の給与等については、給与等の決定行為が最後に行われたのは10年4月1日であり、また、これに基づく当該給与等の支給行為の終了時は同年5月31日であり、いずれの時点からも、申立日まで1年以上を経過しているが、このような場合であっても、組合又は組合員が、使用者の昇給・昇格決定行為に対し、その都度具体的な抗議を繰り返しているのに使用者がこれを無視して毎年の昇給・昇格差別を反復継続するなどの特段の事情が認められるときには、使用者の不当労働行為意思が一貫して継続的に存在するものとして、毎年の昇給・昇格の決定行為は、連続して一体をなした一個の行為と解する余地があるところ、本件においてはそのような特段の事情が存在すると認められないから、X1の昭和61年4月から平成10年5月までの給与等に係る申立てについては、労働組合法第27条第2項の定める期間を経過したものとして、却下するとされた例。
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
労使関係の経緯をみると、平成3年以降、労使間の紛争が激しくなり、X1は、同人の配転訴訟等で長期にわたり会社と対立してきたことなどが認められるが、こうした労使関係の状況を勘案したとしても、組合とそれ以外の社員集団との間に、組合所属を理由とすることを窺わせるような集団的な昇格格差が存在するとまでは認められず、また、会社のX1に対する職務評定が合理性等を欠いていたと認めることもできない以上、X1の昇格格差が、同人の組合所属を理由として生じたものであるとみることはできず、X1の56歳到達社員の基本給の決定、及び、これに基づき同人の給与等を支給してきた会社の行為は、同人が組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合に対する支配介入には当たらないとされた例。
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業種・規模 |
情報サービス・調査業(ソフトウェア業等)、広告業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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