労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  サンパーキング 
事件番号  福岡地労委 平成14年(不)第6号 
申立人  全国一般労働組合福岡地方本部 
被申立人  有限会社サンパーキング 
被申立人  さくらパーキングことY1 
命令年月日  平成15年 2月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)会社廃業により従業員全員を解雇をしたこと、(2)解雇後、会社の実質的経営者Y1が経営する事業に組合員を雇用しなかったこと、(3)(1)、(2)に関する団交申入れを拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、Y1に対して、組合員2名を他の従業員と同程度の待遇で雇用すること、バック・ペイ及び文書手交を、会社に対して、団交拒否に関する陳謝文の手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人Y1は、申立人組合員X1及び同X2をさくらパーキングの他のレジ係従業員と 同程度の待遇で平成14年10月15日付で雇用しなければならない。
2 被申立人Y1は、平成14年10月15日からX1及びX2をさくらパーキングに現実に就労さ せるまでの間、両名に対し、毎月70,000円の割合で給与相当額を支払わなければならない。
3 被申立人Y1は、本命令交付の日から10日以内に次の文書を申立人組合に手交しなければ ならない。
   全国一般労働組合福岡地方本部
    執行委員長 X3殿
  私が、さくらパーキングを開業するに際し、貴組合員X1氏び同X2氏に対し、再雇用  の機会を与えず雇用しなかったことは、福岡県地方労働委員会において労働組合法第7条第 1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰 り返さないよう留意します。
                                 平成 年 月 日
                             さくらパーキング
                              代表  Y1
4 被申立人有限会社サンパーキングは、本命令交付の日から10日以内に次の文書を申立人組 合に交付しなければならない。
   全国一般労働組合福岡地方本部
    執行委員長 X3殿
  当社が、平成14年8月30日付で貴組合が申し入れた組合員の解雇理由や再雇用・雇用継続 等に関する団体交渉に応じなかったことは、福岡県地方労働委員会において労働組合法第7 条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。よって、ここに陳謝します。
                                 平成 年 月 日
                          有限会社サンパーキング
                           清算人 Y2
5 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  4910 事業廃止に伴う新経営者
本件において、雇用契約の主体は、法律的には会社からY1個人に変わり、屋号がSパーキングと変更されているが、会社とSパーキングの実質的経営者はいずれもY1であり、同人が雇入れに際し、組合員を差別的に取り扱ったかどうかを問う本件において、同人が雇入れ権限を有する以上、Y1は被申立人適格を有するとされた例。

1800 会社解散・事業閉鎖
会社がK駐車場及びS駐車場の経営を維持するのは、収益性の点からして、かなり困難な状況にあったことは否定できず、また、経営者が事業を継続するか廃止するかの決定や事業を行うに当たってどのような形態を採用するかは、基本的に経営者の自由であることから、会社が会社解散に伴い、全ての従業員を解雇したことは組合員のみを差別的に解雇した不当労働行為といえないとされた例。

1900 営業譲渡・合併
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
Sパーキングの営業主体がY1個人であるとしても、実態は、会社からの無償による一部営業譲渡とも評価できる事業であるから、経営者の社会的な責任として従業員の雇用の確保などの配慮が必要とされ、事実会社及びY1は、組合員以外に対してはその責任を果たし、可能な限り従来の事業所での雇用が実現している一方で、組合員に対しては話し合うこともしていないこと、さらに、会社及びY1らの組合に対する嫌悪感情言動等に照らすと、Y1が組合員X1及びX2に対し、再雇用の機会を与えず雇用しなかったことは、事業主体の法律的な変更を奇貨として、組合員X1及びX2を排除する意図によるものであり、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為とされた例。

1500 不採用
組合員X4については、他の従業員に事実上の再雇用の声がかかった時点では組合に加入していなかったこと、個人的な性格気質が経営者に嫌われていたのではないかという事情、立体駐車場がないY1が経営するSパーキングでは誘導係は一人で十分であるという経営判断などから考慮すると、Y1がX4に対し再雇用の機会を与えず雇用しなかったことは不当労働行為とまではいえないとされた例。

2241 他の係争事件の存在
2253 受取り拒否・申入れなし
会社は、組合員の解雇問題、Sパーキングでの就労等を議題とする団交申入れに応じず、また、本件救済申立が労働委員会に係属したことをもって、労働委員会が交渉の場となると判断したと主張するが、労働委員会における審査の手続が団交でないことは明白であり、会社が、組合が申し入れた団交に応じなかったことは、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当するが、組合の団交申入れは、会社に対してのみなされ、Y1に対してはなされていないから、Y1の団交拒否を認定できないとされた例。

業種・規模  運輸に附帯するサービス業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集126集520頁 
評釈等情報   

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