概要情報
事件名 |
ニッポー技研 |
事件番号 |
大阪地労委 平成12年(不)第62号
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申立人 |
全国一般労働組合大阪府本部 |
被申立人 |
株式会社ニッポー技研 |
命令年月日 |
平成15年 7月14日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)懲戒解雇処分の撤回により職場復帰した組合員である管理職3名を、労使間の確認書に反して、従前所掌していた業務に相当する職務に就かせなかったこと、(2)同3名をその後降格処分としたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、(1)確認書に基づいて従前に所掌していた職務への復帰、(2)降格処分のなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ、(3)文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、当事者間の平成9年6月11日付の確認書に基づき、申立人組合員X1につい ては同8年2月に技術開発部長が所掌していた業務に相当する職務を、及び同X2について は同8年2月に営業部長が所掌していた業務に相当する職務をそれぞれ命じなければならな い。 2 被申立人は、平成11年10月1日付で行った申立人組合員X3の課長職からの降格処分並び に同X1及び同X2の部長職からの降格処分をなかったものとして取り扱い、降格処分がな ければ得られたであろう役職手当相当額を支払わなければならない。ただし、X3に対して は、平成13年9月14日までの分とする。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全国一般労働組合大阪府本部 執行委員長 X4殿 株式会社ニッポー技研 代表取締役 Y1 当社が、貴組合員X3氏、同X1氏及び同X2氏に対して、従前所掌していた業務に相当 する職務を命じず、平成ll年10月1日付けで、貴組合員X3氏の課長職からの降格処分並 びに同X1氏及び同X2氏の部長職からの降格処分を行ったことは、大阪府地方労働委員会 において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められま した。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、人事政策の観点から原職復帰に当たって準備期間を設けることには一定の合理性があるとしても、確認書締結後に会社がX3ら3名と他従業員の関係改善のために具体的な努力をしたと認めるに足る疎明はないこと、また、会社は、管理職待遇扱いに留めた理由としてX3ら3名の能力上の問題を挙げるが、同人らを管理職とするのは確認書上の労使合意に基づくものであり、これを正当な理由とみなすのは相当ではなく、同人らに新たに管理職としての能力の欠如を疑わせる程度の業務上の問題があったと認めるに足る疎明もないことから、会社が、X3ら3名を確認書締結から相当の期間が経過しても、原職又はこれに相当する職務には戻さなかったことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為とされた例。
1200 降格・不昇格
会社は、X3ら3名の降格処分の理由として、管理職としての能力の欠如と組合活動に名を借りた反経営的な活動をいうが、管理職としての能力の欠如を疑わせる程度の業務上の問題があったと認めるに足る疎明はなく、また、本件降格処分直前になされた文書配布については、組合等が文書配布を行うに至ったことに相当の理由があり、本件文書の一部の表現が行き過ぎの感があるにしても全体としてみれば、これら文書の配布は本件降格処分を正当化するほどの理由とはなり得ず、さらに、降格後の処遇についても、新たな業務はX3ら3名の以前の経験がほとんど活用できないものであること、降格通知後20日間新たな業務や配属先が示されなかったこと等から、本件降格処分は、同人らの組合活動を嫌悪して不利益を課すとともに、組合による会社に対する批判的言動を抑制することを企図して行われたものとみるのが相当とされた例。
5201 継続する行為
X3ら3名の配置について、労使確認した確認書は、平成9年6月11日に締結されており、本件申立ては、同日から約3年を経過して申し立てられたものであるが、会社は、確認書締結後相当な期間が経過した後においても、正当な理由なく同人らを管理職待遇扱いに留め置き、それに対し組合等が原職復帰を要求していたところ、本件降格処分がなされたものであり、確認書の不履行は本件申立時において継続していたものみるのが相当とされた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集126集445頁 |
評釈等情報 |
 
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