労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  北九西鉄タクシー 
事件番号  福岡地労委 平成14年(不)第1号 
申立人  全国一般労働組合全国協議会北九州合同労働組合(ユニオン北九州) 
被申立人  北九西鉄タクシー 株式会社 
命令年月日  平成15年 6月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、組合員X1を解雇したこと、同問題に関する団交を拒否したこと、X1に対する離職票交付を遅延させたこと及び会社構内への組合宣伝車の入構を拒否した事件で、組合員X1の解雇問題に関する団交拒否について文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人北九西鉄タクシー株式会社は、本命令書写しの交付から7日以内に下記の文書を 申立人全国一般労働組合全国協議会北九州労働組合(ユニオン北九州)に手交しなければな らない。
                                 平成 年 月 日
   全国一般労働組合全国協議会北九州合同労働組合
   (ユニオン北九州)
    執行委員長 X2 殿
                         北九西鉄タクシー株式会社
                          代表取締役  Y1
  当社が、貴組合員X1の解雇に関する団体交渉において、同人の解雇理由について説明を 行わなかったことは、福岡県地方労働委員会から労働組合法第7条第2号に該当する不当労 働行為であると認定されました。今後このような行為を行わないよう留意します。
2 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0500 勤務成績不良
営業所長は、X1に対し、低運収を改善するため、たびたび指導を行っていたにもかかわらず、同人はこれに従おうとせず、若松地区に固執して営業を展開した結果、成果をあげられず、また、同人は以前にも別会社で若松地区でのタクシー業務の経験がある以上、指導の有無にかかわらず運収を向上させる方法を当然知っているべきものであるのに、会社入社以来、このような乗務を行っていなかったと認めざるを得ず、自ら低運収となる状態を招いたものと認められ、会社が就業規則に基づきX1を解雇したのはやむを得ず、労働組合法第7条1号及び第3号の不当労働行為に当たらないとされた例。

2240 説明・説得の程度
2305 労働協約との関係
会社は、X1の解雇理由の説明について、組合と労働協約を結んでいないことを理由に拒否しており、また、X1に対しては、文書により解雇理由が明らかにされたものの、組合に対しては、X1の解雇に関する団体交渉においても、同人の解雇理由を具体的に説明していないから、会社が、解雇等に関する事前協議協定が結ばれていないことを理由に、X1の解雇理由について、組合に対して一切説明しようとしなかったことは、労働組合法第7条2号の不当労働行為に当たるとされた例。

2253 受取り拒否・申入れなし
2307 その他
組合が、X1への離職票交付について団交申入書を提出したところ、営業所長は、何ら理由を述べることなく同申入書をX1に返却しており、このような対応は不誠実と評価されてもやむを得ないものの、団体交渉を申し入れた日には離職票が交付され、その後組合は、この問題を交渉議題として申し入れていないのであるから、離職票交付に係る団体交渉については、労働組合法第7条2号の不当労働行為に当たらないとされた例。

2235 その他組合の態度
2307 その他
X1の平成13年4月及び5月の欠勤日数の調査内容については、同人の四月の欠勤日数の調査内容を議題とする団体交渉は行われたとみられるが、5月については、その後行われた2回の団体交渉においても、組合は、これについて追及しておらず、交渉事項としていないのであるから、会社が団体交渉に応じていないということはできず、いずれも労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たらないとされた例。

2240 説明・説得の程度
2307 その他
組合は会社に対して、新規に加入した組合員の組合加入通知、分会結成通知を行うとともに、両名の身分及び労働条件についても交渉議題として団体交渉を行い、その後開催された団体交渉において組合が趣旨説明を行ったことに対し、会社は見解を述べたことが認められ、組合員の身分・労働条件については、団体交渉が既に行われたと評価でき、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たらないとされた例。

2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
賃金規定については、その具体的趣旨説明が平成14年5月15日の団体交渉において行われており、それに対して会社も7月19日の団体交渉において見解を述べ、これに先立つ2月27日の団体交渉においても、業績給や業績割増給等の給与の算出方法について説明し、団体交渉に応じているのであるから、労働組合法第7条2号の不当労働行為に当たらないとされた例。

2216 その他
今後の団体交渉議事録についてのルール及び記録方法については、会社が団体交渉に応じて会社の考えを述べている以上、労働組合法第7条2号の不当労働行為に当たらないとされた例。

1604 その他
X1は、解雇後約1ヶ月を経過して離職票の交付を受けたことになったが、会社が意図的に離職票の交付を遅らせたとは判断できず、このことは不当労働行為には当たらないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3410 職制上の地位にある者の言動
営業所長が、離職票の交付を受けるため組合宣伝車で来社したX1に対し、会社敷地外への移動を求めたのは当日のみであるから、会社が同宣伝車の会社構外への移動を求めたことをもって、組合活動を妨害するものとは認められず、不当労働行為には当たらないとされた例。

2240 説明・説得の程度
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
会社が、組合に対しX1の解雇理由について具体的な説明を一切行わなかったことは、不当労働行為であるが、これの救済については、会社が組合に対し、本人へ解雇理由書を郵送した旨伝えて、翌日到着の同理由書により本人に対してではあるが解雇理由を明らかにしていること、また、本件審査の過程において、同人の解雇理由は明らかとなり、組合、会社双方ともにその主張、立証を尽くしていることに照らせば、文書手交の救済をもって十分であるとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集126集275頁 
評釈等情報   

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