概要情報
事件名 |
日本臓器製薬 |
事件番号 |
大阪地労委 平成11年(不)第50号
大阪地労委 平成11年(不)第51号
大阪地労委 平成11年(不)第69号
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申立人 |
管理職組合ニチゾー会 |
被申立人 |
日本臓器製薬株式会社 |
命令年月日 |
平成15年 6月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)会社顧問が作成した経営改革案に賛同し、組合を結成し、署名活動を行ったこと等を理由とする組合会長、副会長らに対する降格、自宅待機処分、(2)借上社宅を組合事務所に使用したことを理由とする組合会長の借上社宅契約の解除、(3)(1)・(2)に関する団交拒否、(4)(1)~(3)に抗議しストを実施した組合会長ら4名を懲戒解雇した事件で、組合会長ら4名の懲戒解雇のなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ、組合会長に対する借上社宅契約解除のなかったものとしての取扱い、団交応諾、及び文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成11年6月17日付懲戒解雇処分及び解雇処分が なかったものとして取り扱うとともに、同日から就労させるまでの間、同人が就労していれ ば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X2に対する平成11年6月8日付懲戒解雇処分及び解雇処分が なかったものとして取り扱うとともに、同日から就労させるまでの間、同人が就労していれ ば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合員X3に対する平成11年6月18日付懲戒解雇処分及び解雇処分が なかったものとして取り扱うとともに、同日から就労させるまでの間、同人が就労していれ ば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。 4 被申立人は、申立人組合員X4に対する平成11年6月15日付懲戒解雇処分及び解雇処分が なかったものとして取り扱うとともに、同日から就労させるまでの間、同人が就労していれ ば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。 5 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成11年5月13日付借り上げ社宅契約解除がなか ったものとして取り扱わなければなならい。 6 被申立人は、申立人組合が平成11年5月16日に申し入れた団体交渉に誠実に対応しなけれ ばならない。 7 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 管理職組合ニチゾー会 会長 X1 様 日本臓器製薬株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第 2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰 り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合員X1氏、同X2氏、X3氏及びX4氏に対し、懲戒解雇処分及び解職処分を行 ったこと。 (2)貴組合員X1氏に対し、借上社宅契約を解除したこと。 (3)貴組合からの平成11年5月16日付団体交渉の申入れに応じなかったこと。 8 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
4825 その他
5130 法2条但書との関係
組合員である支店長ら管理職は人事面等において一定の範囲で権限が認められているものの、労使対等の交渉による労働条件の維持改善を目的として、一般社員とは別の管理職の労働者のみをもって会社の利益代表者を排除した管理職組合を結成したものと判断でき、当該管理職組合は、組合の自主性を欠いているものとみることはできず、労働組合法第2条の労働組合に当たるとされた例。
0700 職場規律違反
1107 その他
1400 制裁処分
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
管理本部付人事異動及び自宅待機命令は、会社顧問の会社改革案への賛同を求める一部の支店長による署名活動に対し、会社組織の動揺を抑える措置として専ら経営上の目的からなされたとみるのが相当であるから不当労働行為とまではいえないが、X1らに対してなされた懲戒解雇処分は、支店長ら管理職により結成された組合の組織拡大や団結を恐れる余り、組合員を会社から排除することによって、組合員に不利益を与えるとともに、組合組織の弱体化を図ることを目的としてなされたものとみるのが相当であり、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社は、支店長X1に対し、会社の借上社宅を会社と関係のない組合事務所の所在地として使用する行為が具体的に住宅管理規定にどのように抵触するかについて説明を行わず、また、事実関係の調査をせずに、同人及び組合に対し、弁明の機会を与えないまま、一方的に借上社宅契約を解除したものであり上記1の判断を加えると、かかる会社の行為は、組合結成に対する報復的措置であるとともに、組合員であることの不利益さを同人及び組合に対して示したものとみるのが相当であり、労働組合法第7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。
2249 その他使用者の態度
5130 法2条但書との関係
会社は、結成当初から組合を労働組合法で規定する適法な労働組合とはみなさずに否認する態度を取り続け、その後、数度にわたる団交開催の申入れがあるにもかかわらず、一切これに応じず、一貫して団交拒否の態度を取り続けていることは明らかであり、上記1のとおり、本件組合は、労働組合法第2条に適合する労働組合であるから、かかる会社の行為は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるとされた例。
4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
組合は、謝罪文の掲示を求めているが、文書手交をもって相当であるとされた例。
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業種・規模 |
その他の製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集126集321頁 |
評釈等情報 |
 
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