労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  文祥堂 
事件番号  大阪地労委 平成 5年(不)第43号 
申立人  総評全国一般大阪地連文祥堂労働組合大阪支部 
被申立人  株式会社文祥堂 
命令年月日  平成15年 3月31日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、組合員7名を平成4年9月1日付又は同5年6月1日付で課長代理に昇進させなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、組合員2名の課長代理に昇進したものとしての取扱い、賃金等の是正、既支給額との差額(年5分加算)の支払、文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1を平成4年9月1日付で、同X2を同5年6月1日付でそ れぞれ課長代理に昇進したものとして取り扱い、各自同日以降の賃金及び賞与を是正すると ともに、是正後の金額と既に支払われた賃金及び賞与の差額並びにこれらに年率5分を乗じ た金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                    記
                                 年  月  日
   総評全国一般大阪地連文祥堂労働組合大阪支部
    代表者 支部長 X1 殿
                            株式会社文祥堂
                             代表取締役 Y1
  当社が、貴組合員X1氏を平成4年9月1日付で、同X2氏を同5年6月1日付で課長代 理に昇進させなかったことは、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及 び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さ ないようにいたします。
3 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
会社の課長代理昇進に係る人事考課制度そのものは、定着しているとみるのが相当であり、また、一定の客観性を保つよう配慮されていることが認められ、少なくとも、当該制度に基づいて行われる課長代理への昇進の仕組み自体が、組合員の課長代理への昇進を妨げる不当労働行為意思によって作られたものには当たらないとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成4年9月1日付課長代理へのX1の昇進については、総合判定対象期間中のX1の業務の実績は同日に昇進したX3の業務実績を上回っていること、また、勤怠状況についても同期間中欠勤はなく、遅刻1回、早退1回だけであり、マイナス要因にあたるとは考えられないこと、さらに、組合役員の経験年数の長い者ほど昇進割合が低い傾向にある等、会社が人事考課制度を運用する面において、組合員又は組合役員を昇進から意図的に除外している可能性は否定できないところ、X1は長期にわたり組合役員に就任している一方、X3は組合役員に就任したことはなかったこと等を併せ考慮すると、会社はX1の組合活動を嫌悪して、課長代理に昇進させなかったものと認めるのが相当であり、X1を課長代理に昇進させなかった会社の行為は、7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成5年9月1日付課長代理へのX2の昇進については、考課対象期間中のいずれのX2の行為も会社に損害を与える等の具体的な事実は認められず、また、同人の勤怠状況について問題があったという疎明もないことから、会社はX2に係る取引先との些細なトラブルを殊更取り上げて、X2の勤怠状況等を総合判定においてマイナス評価しているといわざるを得ず、さらに、組合役員の経験年数の長い者ほど昇進割合が低い傾向にある等、会社が人事考課制度を運用する面において、組合員又は組合役員を昇進から意図的に除外している可能性は否定できないところ、X2は長期にわたり組合役員に就任していること等を併せ考慮すると、会社はX2の組合活動を嫌悪して、課長代理に昇進させなかったものと認めるのが相当であり、X2を課長代理に昇進させなかった会社の行為は、7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成4年9月1日付課長代理へのX4、X5、X6の昇進については、3名はいずれも欠勤、遅刻、早退が数多く認められ、勤怠状況等総合判定においてマイナス評価とされうる事象があるにもかかわらず、組合は、各人が単に通常の業務を問題なく処理していたと主張、立証するにとどまっていることから、課長代理への昇進対象としなかった取扱いが、組合員に対する差別的な取扱いであるとすることはできないとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
X7は平成2年度に、X8は平成3年度にそれぞれ係長に昇進しており、両名は同元年度までに係長に昇進しなかったことにより本件昇進の対象とならなかったものであるが、両名が同年度まで係長に昇進しなかったことにつき格別不当な差別が存するとの具体的な疎明のないこと、また、同2年度以降に係長になった者を課長代理への昇進対象者としなかった取扱いは、組合員のみならず従業員全体に適用されているものであり、組合員に対する差別的取扱いであるとは言えないことから、不当労働行為には当たらないとされた例。

4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
組合は、陳謝文の掲示を求めるが、文書手交をもって足りるとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集702頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約295KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。