労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  文祥堂(第2昇進差別) 
事件番号  大阪地労委 平成 9年(不)第22号 
大阪地労委 平成11年(不)第98号 
大阪地労委 平成13年(不)第29号 
申立人  総評全国一般大阪地連文祥堂労働組合大阪支部 
被申立人  株式会社文祥堂 
命令年月日  平成15年 3月31日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、組合員6名を平成8年6月1日付、同11年9月1日付又は同12年9月1日付で課長代理に昇進させなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、組合員2名の課長代理に昇進したものとしての取扱い、賃金等の是正、既支給額との差額(年5分加算)の支払、文書手交を命じ、別件及び本件で救済を命じた組合員に係るその他申立ては却下し、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1を平成11年9月1日付で、同X2を同12年9月1日付でそ れぞれ課長代理に昇進したものとして取り扱い、それぞれ同日以降の賃金及び賞与を是正す るとともに、是正後の金額と既に支払われた賃金及び賞与の差額並びにこれらに年率5分を 乗じた金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                     記
                                 年  月  日
   総評全国一般大阪地連文祥堂労働組合大阪支部
    代表者 支部長 X3 殿
                          株式会社文祥堂
                           代表取締役 Y1
  当社が、貴組合員X1氏を平成11年9月1日付で、同X2氏を同12年9月1日付で課長代 理に昇進させなかったことは、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及 び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さ ないようにいたします。
3 申立人組合員X4につき、平成8年6月1日付及び同11年9月1日付で課長代理に昇進さ せることを求める請求については、却下する。
4 申立人組合員X1につき、平成12年9月1日付で課長代理に昇進させることを求める請求 については、却下する。
5 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
会社の課長代理昇進に係る人事考課制度そのものは、定着しているとみるのが相当であり、また、一定の客観性を保つよう配慮されていることが認められ、少なくとも、当該制度に基づいて行われる課長代理への昇進の仕組み自体が、組合員の課長代理への昇進を妨げる不当労働行為意思によって作られたものには当たらないとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成8年6月1日付課長代理へのX1、X2、X5、X6、X7の昇進について、同人らの8年度昇進に係る実績評価は他の従業員より特に優れた実績を上げたなどの疎明はなく、また、同人らの業務に関し、特段マイナス要因とされる要素はなかったにしても、その評価がより上位のものであったと認めることはできないことから、会社が、同人らを課長代理の昇進対象としなかったのは、組合員に対する差別的な取扱いであると判断できず、不当労働行為に当たらないとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
5124 その他の審査手続
平成8年6月1日付課長代理へのX4の昇進について、会社は、X4の過去5年間の業績評価を加味した総合判定について、課長代理に昇進するにふさわしくないと判断したとするものの、どのようなマイナス要因があったかについては具体的な疎明をしておらず、これにX4は長期にわたり組合役員に就任しており、組合役員の経験年数の長い者ほど昇進割合が低い傾向にあることを併せ考慮すると、会社が同人の組合活動を嫌悪して不利益に取り扱い、組合を弱体化させる意図の下に課長代理に昇進させなかったものとみるのが相当であり、X4を課長代理に昇進させなかった会社の行為は7条1号及び3号の不当労働行為に当たるが、当委員会は、別事件において同4年6月1日付で課長代理への昇進を命じていることから、本件申立てのX4に係る部分については却下するとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成11年9月1日付課長代理へのX2、X5、X7の昇進について、同人らの11年度昇進に係る業績評価は他の従業員より特に優れた実績を上げたなどの疎明はなく、また、同人らの業務に関し、特段マイナス要因とされる要素はなかったにしても、その評価がより上位のものであったと認めることはできないことから、会社が、同人らを課長代理の昇進対象としなかったのは、組合員に対する差別的な取扱いであると判断できず、不当労働行為に当たらないとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成11年9月1日付課長代理へのX1の昇進について、会社が課長代理昇進に係る人事考課制度を運用する面において、組合員や組合役員を昇進から意図的に除外するという不当労働行為を行っている可能性は否定できないこと、X1の過去5年間の業績評価において、マイナス要因があったか否かについては具体的な疎明はないこと、X1の業務評価はX6、X4に比較して特段見劣りするものとは認められないが、同11年度にX6が同12年度にX4がそれぞれ課長代理に昇進したこと、X1は、支部長に就任して以来、長期にわたり組合役員を歴任していること等を併せ考慮すると、会社はX1の組合活動を嫌悪して、同人を不利益に取り扱い、組合を弱体化させる意図の下に課長代理に昇進させなかったものと認めるのが相当であり、X1を課長代理に昇進させなかった会社の行為は、7条第1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
5124 その他の審査手続
平成11年9月1日付課長代理へのX4の昇進について、会社が課長代理昇進に係る人事考課制度を運用する面において、組合員や組合役員を昇進から意図的に排除するという不当労働行為を行っている可能性は一概に否定できないこと、同人の過去5年間の業績評価を加味した総合判定について、どのようなマイナス要因があったか具体的な疎明をしていないこと、X4は長期にわたり組合役員に就任しており、組合役員の経験年数が長い者ほど昇進割合が低い傾向にあることを併せ考慮すると、会社が同人の組合活動を嫌悪して、同人を不利益に取扱い、組合を弱体化させる意図の下に課長代理に昇進させなかったものと認めるのが相当であり、X4を課長代理に昇進させなかった会社の行為は、7条1号及び3号の不当労働行為に当たるが、当委員会は、別事件において同4年6月1日付で課長代理への昇進を命じているから、本件申立てのX4に係る部分については却下するとされた例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成12年9月1日付課長代理へのX5、X7の昇進について、同人らの12年度昇進に係る業績評価は他の従業員より特段優れた実績を上げたなどの疎明はなく、また、同人の業務に関し、特段マイナス要因とされる要素はなかったにしても、その評価がより上位のものであったと認めることはできないことから、会社が同人らを課長代理の昇進対象としなかったのは、組合員に対する差別的な取扱いであると判断できず、同人らの同年度昇進に係る申立ては棄却された例。

1200 降格・不昇格
1202 考課査定による差別
平成12年9月1日付課長代理へのX2の昇進について、会社が課長代理昇進に係る人事考課制度を運用する面において、組合員や組合役員を昇進から意図的に除外するという不当労働行為を行っている可能性を否定できないこと、X2の過去5年間の業績評価において、マイナス要因があったか否かについては具体的な疎明はないこと、X2は長期にわたり組合役員に就任しており、組合役員の経験年数が長い者ほど昇進割合が低い傾向にあることを併せ考慮すると、会社が同人の組合活動を嫌悪して、同人を不利益に取扱い、組合を弱体化させる意図の下に課長代理に昇進させなかったものと認めるのが相当であり、X2を課長代理に昇進させなかった会社の行為は、7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

5124 その他の審査手続
上記のとおりX1は、平成11年9月1日付で課長代理へ昇進すべきものと判断されるので、同人の同12年度昇進に係る申立てについては却下するとされた例。

4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
組合は、陳謝文の掲示を求めるが、文書手交をもって足りるとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集648頁 
評釈等情報   

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