労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エスエムケイ(その2) 
事件番号  神奈川地労委 平成11年(不)第21号 
神奈川地労委 平成12年(不)第17号 
申立人  全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部 
被申立人  SMK株式会社 
命令年月日  平成15年 3月28日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、平成10年冬季賞与から同12年夏季賞与並びに平成11年及び同12年賃上げにかかる各考課の査定において分会員を差別したこと、分会員2名を役職解任及び分会員1名を役職降格したこと、時間内組合活動届の受理を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、平成10年度冬季賞与から同12年夏季賞与並びに平成11年及び同12年昇給にかかる組合員に対する考課について同期、同学歴の平均的考課と同等であったものとしての取扱い、分会員2名の役職解任、1名の役職降格のなかったものとしての取扱い、上記分会員に対するバック・ペイ(年5分加算)、組合活動届の受理、組合活動届の受理拒否等による支配介入の禁止、文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、平成10年冬季賞与から平成12年夏季賞与までの各賞与に係る考課並びに平成 11年昇給及び平成12年昇給に係る考課をC考課又はD考課とした申立人組合員の当該考課に ついて、同期・同学歴の従業員の平均的考課と同等であったものとして取り扱わなければな らない。
2 被申立人は、申立人組合員X1及び同X2に対する役職解任並びに同X3に対する役職降 格について、それぞれなかったものとして取り扱わなければならない。
3 被申立人は、前2項に記載する申立人組合員に対し、当該各項による是正後の賞与及び賃 金に相当する額と現に支払った賞与及び賃金の額との差額に相当する額に、年率5分相当額 を加算した額の金員を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人組合員らが提出する1分単位での時間内組合活動届について、受理を しなければならない。
5 被申立人は、申立人組合員らが提出した時間内組合活動届について受理することを拒否す るなどして申立人及び申立人分会の運営に介入してはならない。
6 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を縦1m×横1.5mの白紙に楷書で明瞭に 大きく記載し、被申立人の本社及び大和事業所の従業員出入り口付近の見やすい場所に、毀 損することなく10日間掲示しなければならない。
                      記
  当社が貴組合員らの平成10年冬季賞与から平成12年夏季賞与までの各賞与に係る考課並び に平成11年昇給及び平成12年昇給に係る考課を低く査定したこと、貴組合員のX1及びX2 について役職を解任するとともに、X3について役職を降格したことはいずれも労働組合法 第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であり、また、貴組合員らが提出した時間 内組合活動届について30分単位でないことを理由に受理しなかったことは同条第3号に該 当する不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会において認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
                              平成  年  月  日
   全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部
    執行委員長  X4  殿
                            SMK株式会社
                             代表取締役  Y1 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
分会が経営合理化の諸施策に反対したことなどから、分会を一層嫌悪し、改めてその弱体化を企図して分会員2名を昇格させず、あるいは分会員と他の社員との昇格、役職の格差是正すること等を内容とする文書に反し、昇給・賞与の考課査定を下げるなどして格差の是正を取り止め、また、分会に対して同文書の改廃協議を申し入れ、さらに、分会員に出向辞令を発した上、これに従わないことを理由に懲戒処分を通知したことからすると、本件分会員に対する考課査定は、会社の方針と対立する主張や要求を依然として掲げる分会を従前に引き続いて弱体化させるために行ったものであり、本件分会員2名の役職解任も分会員を下位の格付けに据え置くことにより分会員の意欲を喪失せしめて分会を一層弱体化させる新たな方策として行ったものであると推認でき、本件考課査定及び本件役職解任は、組合活動を行ったことを理由とする不利益取扱いであり、同時に分会の運営に対する介入として7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

1200 降格・不昇格
本件X3の役職降格は、分会が従前に引き続き経営合理化の諸施策に反対し、あるいは各種要求を行っていたこと及びX3が組合副執行委員長及び副分会長の地位にあって組合活動の中心的存在であることから、同人の格下げを手段として分会の一層の弱体化を企図して行ったものであると推認され、同役職解任は組合活動を行ったことを理由とする不利益取扱いであり、同時に分会の運営に対する介入として7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとされた例。

3020 組合活動への制約
時間内組合活動届の受理拒否については、会社は、労使慣行を無視して一方的に30分単位の時間内組合活動届へ変更しようとしたものであり、また、分会が30分単位でない時間内組合活動届を提出した際にY2顧問が「組合活動が多すぎるように思う」などとX3の組合活動の在り方に触れる発言をしたことを併せ考えると、本件受理拒否は、分会員らの組合活動を制約しようとして殊更に行ったものであると言わざるを得ず、組合及び分会の運営に対する介入として7条3号の不当労働行為に当たるとされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
本件考課格差の是正については、平成10年から平成12年に係る組合員に対する考課について同期・同学歴の平均考課と同等であったものとしての取扱い及びこれによる是正後の賃金差額相当額の支払(年5分加算)を命じるのが相当であるとされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
本件役職解任及び本件役職降格については、それぞれこれがなかったものとしての取扱い及びこの取扱いによる是正後の賃金差額相当額の支払(年5分加算)を命じるのが相当であるとされた例。

4603 その他
本件時間内組合活動届受理拒否については、労使慣行のとおりの取扱いとすることが相当であるので、組合員が提出する1分単位での時間内組合活動届について受理しなければならないことを命じることとされた例。

4617 その他
分会員に対する昇給・賞与の考課査定、役職格差、役職降格並びに1分単位での時間内組合活動届の受理拒否については、本件結審時においても引き続いていると認められるので、文書掲示を命じるのが相当であるとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集599頁 
評釈等情報   

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