労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  福岡西鉄タクシー 
事件番号  福岡地労委 平成14年(不)第3号 
申立人  自交総連福岡西鉄タクシー労働組合 
被申立人  福岡西鉄タクシー株式会社 
命令年月日  平成15年 3月14日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、平成13年度冬季一時金及び14年度夏季一時金について、一時金の支給率に関する協約に違反して一時金を支払ったこと、一時金に関する団交において不誠実な対応をしたこと、定期昇給差額の支給を拒否したことが、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、平成13年度冬季一時金交渉における不誠実団交についての文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、本命令書写しの交付の日から7日以内に下記の文書を申立人に手交しなけれ ばならない。
                              平成  年  月  日
   自交総連福岡西鉄タクシー労働組合
    執行委員長 X1殿
                         福岡西鉄タクシー株式会社
                          代表取締役社長 Y1
  当社が、平成13年度冬季一時金交渉において、提案及び主張の根拠を十分に検討できる資 料を提示しないなど不誠実な交渉を行ったことは、福岡県地方労働委員会から労働組合法第 7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を行わな いよう留意します。
2 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1203 その他給与決定上の取扱い
会社の就業規則及び賞与規程には、年2回の賞与支給の原則等を定めるに留まり、その他については「その都度組合と協議し決定する」として、一時金交渉についても毎年行われていたこと等から、一時金の支給率について「当分の間変更せず運用するものとする」との11年1月16日付覚書があったとしても、それをもって、3年間有効な労働協約が締結されたとまで解することはできないとされた例。

2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
2305 労働協約との関係
平成13年度一時金交渉において、従来の支給基準を変更し運収300万円未満者に対する支給率を切り下げる会社提案は極めて大きな賃金条件変更であり、しかも実質的にその効果は年度を超えるものであるところ、これを提案する会社はその必要性、合理性を十分説明し、委曲を尽くして組合側の理解を求めるべきであったにもかかわらず、その努力を尽くすことなく提案を強行しようとしたものであって、誠実交渉義務に反するといわざるを得ず、7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2231 組合の不誠実
2300 賃金・労働時間
2305 労働協約との関係
平成13年度定期昇給差額支給については、労使が昇給金額について合意に達していたにも拘わらず、差額支給対象者に退職者を含めるか否かで合意に達せず、また、会社が冬季一時金とセットで解決したい旨主張したことにより、協定文書作成に至らず、平成14年8月に至るまで他組合員との間に差別状態が継続した事実は明らかであり、当該差別的状態が正当化されるものではないが、このような事態に至った責任を会社側の一括解決主張のみに帰せられるかは疑問があり、会社の主張に対し事態打開のため組合自身がどこまで現実の交渉努力を尽くしたか不明であること、現に平成14年8月6日には定期昇給のみの交渉が妥結を見、13、14年度定期昇給差額は支払われていること等から、これを直ちに会社の不当労働行為とまで認定することはできないとされた例。

2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
2305 労働協約との関係
平成14年度夏季一時金交渉については、平成11年度協定の支給基準がそのまま14年度一時金の支給基準として効力を有するとすることはできず、また、会社は、組合の要求に応じて経常利益や営業損益等経営状況について、資料を示して説明を行っており、平成13年度冬季一時金交渉の過程とは明らかに異なるものと認められ、また、会社は実施を予定している経営施策、規制緩和に対処する経営方針等についても具体的に言及し、会社提案の必要性に理解を求める努力を行っており、不誠実交渉には当たらないとされた例。

4614 文書手交のみを命じた例
申立人の請求する救済内容に関し、平成13年度冬季一時金の11年度協定どおりの内容での支給を認めることはできないが、その交渉過程において不当労働行為が認められるので、これを救済する必要があるとし、一方、平成14年度夏季一時金交渉において、経営内容や支給率引下げの理由等については既に説明されているので、主文のとおり命じることをもって足りるとした例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集478頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約67KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。