労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  小林運輸 
事件番号  兵庫地労委 平成13年(不)第5号 
申立人  関西合同労働組合兵庫支部 
申立人  関西合同労働組合 
被申立人  株式会社小林運輸 
命令年月日  平成15年 2月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、合同労組の組合員2名に対し、組合加入通告以降、早出残業及び中長距離の運送業務から排除したこと、平成13年夏季一時金を仮払いしないこと、組合からの団交を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、組合員2名についての配車差別の禁止並びに早出残業及び中長距離の運送業務に従事させること、両名の同業務に従事したものとしての取扱い及び残業手当等の差額の支払、平成13年夏季一時金の支払、団交応諾を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社小林運輸は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働組合兵庫支部 の組合員X1及び同X2に対する配車差別をしてはならず、両名を遅滞なく早出残業、中長 距離の運送業務に従事させるとともに、平成13年8月25日以降、両名を早出残業、中長距離 の運送業務に従事したものとして取り扱い、両名に対し、同日から早出残業、中長距離の運 送業務に従事させるまでの期間、それぞれに支払われるはずであった残業手当及び深夜残業 手当の額、すなわち、1箇月につき、それぞれの平成13年5月分ないし7月分の残業手当及 び深夜残業手当の平均額と同年9月分の残業手当及び深夜残業手当の額との差額を支払わな ければならない。
2 被申立人株式会社小林運輸は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働組合兵庫支部 の組合員X1及び同X2を申立外C組合の組合員等と差別することなく取り扱い、両名に対 し、平成13年夏季一時金として、それぞれ15万円及び年功による加算金を仮払いしなければ ならない。
3 被申立人株式会社小林運輸は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働組合兵庫支部 からの平成13年8月23日付団体交渉要求書の各事項について、速やかに団体交渉に応じなけ ればならない。
4 その余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
配車差別開始以降に行われている組合による抗議行動は、会社がX1及びX2を早出残業、中長距離の運送業務から外し、両名を同業務に従事させていない等の不誠実な対応に起因することを考えると、会社が配車差別を継続したことを正当化することはできず、両名に対して行った配車差別は、7条1号の不当労働行為に当たるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
X1及びX2の組合への加入通告がなされた直後に、別組合の組合員等に対し、夏季一時金として15万円及び年功による加算金を仮払いしたにもかかわらず、両名に対してのみ同一時金を仮払いしなかったことは、両名が組合に加入したことを理由とする不利益取扱いであり、7条1号の不当労働行為に当たるとされた例。

2113 交渉団体として不適格
2230 不穏当な態度
2235 その他組合の態度
会社は、団交拒否の理由として、団体交渉の主体性について疑念があったこと、団交開催に当たり、脅迫的、暴力的行為が繰り返されたことをあげるが、X1、X2の組合員資格に何ら疑念の生じる余地はなく、団交の主体性に疑念があったとはいえず、また、組合の態度等に若干の行き過ぎはあったが、会社の対応からしてやむを得ない事情があったと認められる等、会社が組合との団体交渉を拒否する理由については、いずれもその正当性が認められず、会社が、組合から要求事項についての団体交渉に応じていないことは、7条2号の不当労働行為に当たるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
配車差別に対する救済としては、X1及びX2が被った不利益の原状回復措置として、会社が両名に対する配車差別を行った期間の差額賃金として、1箇月につき、それぞれの平成13年5月分ないし7月分の残業手当及び深夜残業手当の平均額と同年9月分の残業手当及び深夜残業手当の額との差額を支払うよう命じるのが相当であるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
X1及びX2に対する平成13年夏季一時金不払いについての救済としては、別組合の組合員等に支払われた同一時金の仮払額と同一の額をそれぞれ仮払いするよう命じるのが相当であるとされた例。

4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
組合との団体交渉拒否に対する救済としては、会社に対し、組合からの団体交渉要求書の各事項について、速やかに団体交渉に応じるよう命じるのが相当であるとされた例。

4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
組合は、救済方法として、謝罪文の掲示をも求めるが、本件事案の経過からみて、主文の程度をもって相当であるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集125集407頁 
評釈等情報   

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