概要情報
事件名 |
神谷商事(懲戒処分等) |
事件番号 |
中労委 平成 5年(不再)第26号
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再審査申立人 |
神谷商事 株式会社 |
再審査被申立人 |
組合員X1 |
再審査被申立人 |
労働組合東京ユニオン |
命令年月日 |
平成12年 7月 5日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)組合員X1の社屋前での屋台営業による情宣活動等を理由とする同人の出勤停止処分及び同活動による長期職場離脱を理由とする同人の解雇処分、(2)X1を同活動に携わらせたことを理由とする組合支部長X2の出勤停止処分、(3)会社が負担していた支部組合事務所の家賃についての値上げ分の不払い及び値上げ後の家賃負担そのものの打ち切り、(4)組合員5名の社長室乱入等を理由とする同人らの出勤停止処分、(5)組合員と非組合員の就労場所等の分離、組合員の非組合員への説得活動の妨害、組合員掲示板からのビラ撤去が、それぞれ不当労働行為に該当するとして申立てがあった事件で、中労委は全部救済をなした初審命令を一部変更し組合員の就労場所等の分離をしたこと及び組合の非組合員に対する説得活動を妨害したことに関する文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却した。 |
命令主文 |
I 初審命令主文を次のとおり変更する。 1 神谷商事株式会社は、労働組合東京ユニオンに対し、この命令書交付の日 から7日以内に下記の文書を手交しなければならない。 記 年 月 日 労働組合東京ユニオン 執行委員長 X3 殿 神谷商事株式会社 代表取締役 Y1 印 当社が、貴組合員と非組合員との休憩室及び就労場所を分離したこと並び にストライキ時において貴組合の非組合員への説得活動(協力要請)を妨害 したことは、中央労働委員会において労働組合法第七条第三号に該当する不 当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さな いように留意します。 2 その余の本件救済申立てを棄却する。 II その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
本件の屋台活動は、組合のおかれている現況について情宣し他の労働組合や労働者からの支援を得るために行われた組合活動と認めることができ、また、労働組合の正当な行為ではないと言うことはできないとされた例。
1400 制裁処分
組合員X1に屋台活動等を行ったこと自体に対する責任が問えないとしても、就業時間中の組合活動は特段の事情がある場合を除き原則として許されないものであるから、会社が再三の警告を行ったにもかかわらずこれを無視し、正当な理由なく職場離脱を継続したX1を懲戒処分に付したことに不当なところはなく、X1に対する出勤停止処分は不当労働行為にはあたらないとされた例。
0700 職場規律違反
1102 業務命令違反
組合員X1は本件屋台活動に長期間携わり職場離脱を続けたこと及び社長室への「乱入」が職場秩序を乱すものであったこと等を考慮すると、X1の解雇は不当労働行為にはあたらないとされた例。
0700 職場規律違反
1102 業務命令違反
組合支部委員長X2は組合員X1に正当性を欠く職場離脱を継続させたことの責めを免れることはできないから、X2の出勤停止処分は不当労働行為にはあたらないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
家賃改定の際の過去の経緯に鑑みると、会社の改定後の家賃相当額全額の支払義務が当然にあるとみることはできず、会社が改定後の値上げ分及び値上げ後の家賃の全額の支払いを拒否したことは不当労働行為にはあたらないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が組合事務所を本件屋台活動のための食品の仕込み等に使用したこと等を理由として家賃負担を打切ったことは、不当労働行為にあたらないとされた例。
0700 職場規律違反
社長室に乱入した組合員5人らの出勤停止処分は、同人らの行為が職場秩序を乱すものであったこと等を考えると、不当労働行為にはあたらないとされた例。
3106 その他の行為
組合員と非組合員で休憩場所と就労場所を分離したことは、組合と紛争状態にある会社が組合員と非組合員の接触を嫌い、これを困難にするために組合活動への妨害活動を図ったものといえ、不当労働行為にあるとされた例。
3106 その他の行為
組合の説得活動に対する会社の一連の行為は、会社の管理職らが組合員を威圧するような言動を行うなど使用者として行い得る相当の範囲を超えた行き過ぎたものであったといわざるを得ず、不当労働行為であるとされた例。
3020 組合活動への制約
組合掲示板のビラの内容は、これを読んだ取引業者等に誤った印象を与えかねず、延いては会社の企業活動を不当に侵害する虞れがあるものであり、会社が再三撤去するように警告しているのに組合が従わなかったのであるから、会社が自らビラを撤去したことは、不当労働行為にはあたらないとされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
会社は、救済申立て後に死亡したX2及び後に会社を退職した組合員4名に係る救済申立ては救済の利益が消滅したものである旨主張するが、同人らに係る救済申立ては理由がないから、この点について判断する必要性はないとされた例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集117集625頁 |
評釈等情報 |
 
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