概要情報
事件名 |
ワインハウスゲアハルト |
事件番号 |
東京地労委平成 9年(不)第26号 東京地労委平成 9年(不)第66号
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申立人 |
東京管理職ユニオン |
被申立人 |
ワインハウスゲアハルト 株式会社 |
命令年月日 |
平成12年 6月 6日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)元従業員のX1の離職に関する団体交渉申し入れに応じなかったこと、(2)元従業員X2の解雇に関する団体交渉申入れに応諾する条件として、業務多忙を理由に1ヶ月以上先の日時を指定したこと、及びその間、営業妨害行為を行わないことを付したことが団交拒否並びに支配介入に当たるとして申立のあった事件で、救済申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4830 代表者
X1とX2は在職当時、いずれも労働組合法第二条但書第一号の「雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者」等の使用者の利益を代表する者ではなかったと認められる。したがって、本件組合が労働組合法第二条の資格を充足していないとして本件申立ての却下を求める会社の主張は採用できない。
2232 宣伝活動
組合の行った9年2月22日のY1社長宅付近での同社長を非難する演説やビラ配布行為は、いかに団体交渉の実現を図るためとはいえ、同社長宅付近の住民に同社長の社会的評価を低下させるような影響を与え、かつ、同社長の家族をも労使の紛争に巻き込み、同社長とその家族の生活の平穏を害する性格を有するものであるから、正当な組合活動の範囲を逸脱しているというべきである。そして、このような組合の行為が、Y1社長に、組合に対する強い警戒心ないし不信感を生じさせたことは容易に推測できる。しかしながら、上記組合の行為は、組合からの団体交渉申入れに全く応じようとしない会社の態度に誘発された面があるといわざるを得ないから、この組合の行為のみをとらえて、組合に一切の責任を帰し、団体交渉を拒否する正当な理由とすることはできない。
4505 その他
団体交渉および当委員会の調査における和解の試みを通じて、組合と会社とは、X1問題およびX2問題を金銭により解決することで認識を一致させ、それぞれ具体的に解決金を示し合うまでに至った。このことは、解決の枠組みが事実上合意されたものとして評価することができる。結局、金額の折り合いが付かなかったため、最終的な合意には達しなかったが、これ以上交渉や和解を重ねたとしても、現状では進展が期待できる余地はみられない。以上を総合すれば、もはや当委員会が、会社に対し、会社の過去の対応をとらえて問責し、団体交渉に応じるよう命令を発する必要性は解消したといえる。
2245 引き延ばし
会社はそれまでの態度を変えて団体交渉に応じる意思を示し、また、期日を延期する理由としては若干抽象的ではあるが、理由および会社の現況を説明しており、殊更に開催期日を引き延ばしたとは認め難い。したがって、この点について、あえて会社を非難するにはあたらず、会社が団体交渉を拒否したとまではいえない。
2244 特定条件の固執
会社の条件付回答は組合運営に対する支配介入にあたるとはいえず、結局、組合の主張は採用できない。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集117集492頁 |
評釈等情報 |
 
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