概要情報
事件名 |
八興運輸 |
事件番号 |
大阪地労委 平成11年(不)第57号
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申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方大阪支部 |
被申立人 |
八興運輸 |
命令年月日 |
平成12年 8月31日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合から申し入れのあった組合員X1の配転問題に関する協議中に、同人を解雇したこと、解雇問題に関する団体交渉に誠意をもって応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)組合員X1に対する解雇通告がなかったものとしての取扱い、未払賃金に関する誠実協議、(2)組合員X1の勤務場所、勤務条件等に関する団交応諾及び文書手交を命じた |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成11年2月20日付けの解雇処 分がなかったものとして取り扱うとともに、同人の同日以降の未払賃金につい て、誠意をもって申立人との協議に応じなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X1の勤務場所、勤務条件等に関する申立人との 団体交渉に、誠意をもって応じなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない 。 記 年 月 日 全日本港湾労働組合関西地方大阪支部 代表者 執行委員長 X2 殿 八興運輸株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴全日本港湾労働組合関西地方大阪支部から申入れのあった貴組合 員X1氏の配転問題に関する協議中に、同氏を解雇したこと、貴組合から申入 れのあった同氏の解雇問題に関する団体交渉に誠意をもって応じなかったこと 及び同問題に関する協議中に同氏に一方的に離職手当を支給したことは、大阪 府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当 する不当労働行為であると認められました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
組合員X1の配転問題ないし解雇問題に関する団交について、配転問題は会社とX1個人の間の問題であるとし、組合の提案に答えることなく、その後、X1に対してのみ配転を説得するなど、配転問題について真剣に組合と協議して解決しようとする姿勢に乏しかったこと、また、配転問題についての協議中に突然X1個人に文書により解雇を通告し、その後、5回の断行に応じているものの、解雇に至る経過や具体的な解雇理由等について組合に説明することなく、解雇撤回はできない旨を繰り返すのみであったこと、組合の提案した配転条件について検討するとしながら回答していないことなどが認められ、会社の団交態度は、配転問題ないし解雇問題を通じて不誠実な態度に終始していたと言わざるをえず、かかる会社の行為は労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1107 その他
2000 人員整理
2249 その他使用者の態度
X1の解雇についてみると、その解雇理由が整理解雇に当たるのか、普通解雇に当たるのか必ずしも判然せず、一方、団交は一度応じたのみで、配転に係る団交の決着がついたとは認められない段階で、いきなりX1を解雇していること、その後も会社が不誠実な団交態度をとり続けていたこと等は、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集117集438頁 |
評釈等情報 |
 
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