概要情報
事件名 |
七尾自動車教習所 |
事件番号 |
石川地労委 平成10年(不)第2号
石川地労委 平成11年(不)第1号
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申立人 |
全国一般労働組合石川地方本部 |
被申立人 |
有限会社 七尾自動車教習所 |
命令年月日 |
平成12年 8月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が(1)組合員2名に対し脱退を勧奨したこと、(2)ユニオンショップ協定に基づく解雇協議申し入れに応じず、同協定を履行しなかったこと、(3)組合加入を妨害したこと、(4)36協定締結に際し、正当な組合活動を妨害したこと、(5)組合加入を理由に教習指導員審査受審の機会を与えない旨通告したこと、(6)別組合の結成を画策・援助し、結成を前提とした言動をなしたこと、(7)実施していないストを理由に組合員の就労を拒否し賃金カットしたこと、(8)ビラ配布等を行った組合員2名を懲戒処分に処したこと、(9)一時金等の交渉を行わず、別組合に比べて不利益な回答を示し続けていること、(10)年休申請を無断欠勤扱いとし、賃金カットしたことが不当労働行為であるとして申立てのあった事件で、それぞれが支配介入などにあたるとして、金員の支払い(年5分加算)、処分の撤回並びに文書手交及び文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に加入した従業員または加入しようとする従業員に対して、組合加入の事実関係を確認するなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人に加入した従業員または加入しようとする従業員に対して、組合加入を理由に、教習指導員資格の取得のための教習指導員審査受審の機会を延期させるなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、36協定の締結における労働者側代表の選出に際して、申立人の組合活動を批判するなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人は、申立人組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8(当時)及びX9(当時)に対して、平成10年2月20日の時間外労働の就労拒否により支給しなかった賃金相当額として、別記1(省略)に掲げる金額を支払わなければならない。 なお、被申立人は、この金額に、平成10年2月26日以降支払済みに至るまでの年率5分の割合による金員相当額を加算して支払わなければならない。 5 被申立人は、申立人組合員X1及びX4に対して行った平成10年4月13日付の懲戒処分を撤回し、当該処分がなかったものとして取り扱わなければならない。 6 被申立人は、申立人の平成10年11月5日付け要求書記載事項について、申立人と誠意をもって速やかに団体交渉を行わなければならない。 7 被申立人は、申立人組合員X10、X1、X5、X2、X6、X7、X3、X4及びX9(当時)に対して、平成10年末一時金の仮払いとして、別記2(省略)に掲げる金額を支払わなければならない。 なお、被申立人は、この金額に、平成10年12月22日以降支払済みに至るまでの年率5分の割合による金員相当額を加算して仮払いしなければならない。 8 被申立人は、申立人組合員X11(当時)、X5、X7及びX3に対して行った平成10年12月10日の無断欠勤の扱いを撤回するとともに、同日分の賃金相当額等として、別記3(省略)に掲げる金額を支払わなければならない。 なお、被申立人は、この金額に、平成10年12月26日以降支払済みに至るまでの年率5分の割合による金員相当額を加算して支払わなければならない。 9 被申立人は、本命令書(写)受領後速やかに、下記文書を申立人に手交するとともに、縦1.5メートル・横1メートルの大きさの白紙に、楷書で明瞭に記載して、被申立人七尾自動車学校指導員室の従業員の見やすい場所に、10日間棄損することなく掲示しなければならない。(年月日は文書を手交・掲示した日を記載すること。) |
判定の要旨 |
2301 人事事項
2305 労働協約との関係
2500 別組合の結成・援助
地本から脱退した2名が第2組合を設立したことについて、脱退と第2組合を設立したことは2名の自主的判断によるものであり、支配介入ではないが、ユ・シ協定による解雇協議に応じなかったことは労組法第七条二号、三号に該当するとされた例。
2305 労働協約との関係
2610 職制上の地位にある者の言動
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
ユ・シ協定を理由として兼任指導員の組合加入を拒否し、総務課長が同人の組合加入の有無を確認したことが不当労働行為であるとされた例。
1604 その他
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3011 従業員教育
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
組合員2名について、指導員審査受審を延期したことが、組合員であるが故の不利益取扱であるとされた例。
2305 労働協約との関係
2500 別組合の結成・援助
ユ・シ協定の見直しの際に会社が事務員を組合員から除外することを強く求め、その後も事務員の組合員化を拒否しているのに対し、第2組合が事務員を組合員化することについて、何等会社が異論を述べないことは第2組合の組織拡大の側面支援であり、不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
36協定締結のために組合が労働者代表の署名を集めたことについて、社長が、当該署名は認めないと反論したことが不当労働行為にあたるとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3102 争議対抗手段
集団交渉をおこなっている3社のうち、組合が1社だけでストライキをおこなったため、組合のストライキの対象となっていない会社が対抗措置として、組合員の就労を拒否し、時間外手当を支払わなかったことが不当労働行為にあたるとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社内において、教習生に組合のビラを無断配付したとして、分会長と分会員1名を懲戒処分にしたことが不当労働行為にあたるとされた例。
2244 特定条件の固執
2249 その他使用者の態度
一時金の団体交渉において、組合の反対を押し切り、テープレコーダーを持ち込み、一貫して自己の回答の受諾を求めた会社の対応は誠意をもって団交に応じたものとは認められず、不当労働行為に当たるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
一時金における回答が基本給の低い第2組合に対する回答より低いものであり、組合として受けることができない内容であるにもかかわらず会社が自己の回答に固執し、組合に対して1年以上の長きにわたり、回答の受諾を求めてきたことが不当労働行為にあたるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
審問傍聴にかかる年休の申請を認めず、賃金をカットしたことが不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集117集312頁 |
評釈等情報 |
 
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