労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東英産業 
事件番号  大阪地労委 平成10年(不)第9号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
被申立人  東英産業株式会社 
命令年月日  平成12年12月26日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)組合員X1の配転、別組合が救済申立てを行ったところ、拒否等を理由に懲戒解雇したこと、(2)同問題に関する団交を拒否したことが、不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)申立人であるX1の懲戒解雇がなかったものとしての取扱い、バックペイ、(2)団交応諾を命じ、組合申立中のX1個人の懲戒解雇に関する部分は却下した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1に対し、平成9年4月16日付けで行った懲戒解雇がなかったものとして取り扱い、同日から就労させるまでの間、同人が就労しておれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人X1の復帰の具体的方法、時期等に関して、申立人全国金属機械労働組合港合同から団体交渉の申入れを受けた場合は、誠意をもってこれに応じなければならない。
3 申立人全国金属機械労働組合港合同のその他の申立ては却下する。 
判定の要旨  5008 その他
労働委員会における不当労働行為救済制度は、専門的行政機関の救済を通じて、労働組合や労働者に対する使用者の一切の行為を禁止し、正常な集団的労使関係の回復を図るもので、裁判所における民事訴訟制度とは別個のものであり、裁判所の地位保全等仮処分申立ての仮処分が確定しているので、本件救済を求めることはできないとの主張が認められなかった例。

5122 和解・取下
教育合同についてみると、組合員総数約280名のうち、非現業職員が約210名であって、構成員の約75%を占めていることが認められる。教育合同は団体の性格を判断する上で最も重要な要素である組合員の量的構成においてその大多数を非現業職員が占めている以上、その余の事情を考慮するまでもなく非現業職員が主体となって組織された団体であり、その法的性格は職員団体であると判断するのが相当であるとされた例。

5000 具体的請求の欠除
不当労働行為救済申立てが取り下げられたときは、労働委員会規則第三五条第四項により、その申立ては初めから係属しなかったものとみなされることから、仮に全く同一の申立てであったとしても、一度申立てを取り下げた後に、再度同一内容の申立てを行うことは妨げられないとされた例。

4825 その他
労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為については、労働組合だけでなく正当な利害関係を有する組合員個人も申し立てることができるものであり、X1の所属組合が変わったからといって、組合員個人の申立人適格が消滅するわけではなく、本件は適法な申立てというべきであるとされた例。

4837 結成または加入の行為
X1が解雇された平成9年4月16日時点では、別組合の組合員であり、本件解雇によって、組合の団結権に対し、何らかの具体的影響があったと認めるに足る十分な疎明はなされておらず、組合は、労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為に関し、申立人適格を有するものと認めることはできないとされた例。

4825 その他
本件解雇処分は、X1の組合加入前のものであり、組合の運営には、何ら影響を及ぼすものでないことは明らかであり、組合が労働組合法第七条第三号の不当労働行為救済申立ての申立人適格を有するものと認めることはできないとされた例。

5200 除斥期間
本件申立ては、X1の懲戒解雇及び団交拒否が不当労働行為か否かを争うものであり、懲戒解雇が平成9年4月6日、団交申入れが平成10年2月10日で、本件申立日は平成10年3月6日であることから、労働組合法第二七条第二項が定める申立期間内に申立てがなされていることは明らかで、本件配転命令の辞令がX1に郵送された平成9年1月29日までの各事実が申立期間を経過しているという主張が認められなかった例。

0600 暴力行為
0800 経歴詐称
1102 業務命令違反
1104 第三者(取引先等)からの苦情
X1に対する本件解雇処分の理由として掲げた履歴書の学歴詐称、取引先等に対する非違行為、D運輸に対する職権濫用行為、本件配転処分の拒否、会社の指揮命令への忠実服従拒否は、本件配転命令を除いていずれも妥当性を欠くものであり、X1の組合活動をめぐり、会社とX1は対立状態にあったことと総合して判断すると、X1を嫌悪する余り、X1の本件配転命令拒否を口実として、懲戒処分の相当性の範囲を超えて、最も重い懲戒解雇処分を課したものとみるのが相当であり、かかる会社の行為は労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1100 雇用関係の存否
4838 申立ての承継
X1が会社と解雇の効力を争っている以上、その限りにおいて会社とX1の雇用関係が消滅したとは言えず、また、解雇問題の発生がX1の組合加入前であったとしても、会社は、解雇を争うX1が、現に組合に所属する組合員である限り、組合から解雇問題に関して団交申入れがあれば、それに応じる義務があり、団交に応じなかった会社の態度は、労働組合法第七条第二号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集118集404頁 
評釈等情報   

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