概要情報
事件名 |
松蔭学園(賃金差別) |
事件番号 |
東京地労委 昭和56年(不)第37号
東京地労委 平成 2年(不)第56号
東京地労委 平成 5年(不)第23号
東京地労委 平成 8年(不)第80号
東京地労委 平成 9年(不)第42号
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申立人 |
松蔭学園教職員組合 |
被申立人 |
学校法人松蔭学園 |
命令年月日 |
平成12年12月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が、組合結成の準備活動及び組合結成後の組合活動を嫌悪し、組合員の賃金(月額給与及び一時金)を非組合員と差別して支給してきたことが争われた事件で、賃金の是正及び是正額の支払い並びに命令履行の報告を命じ、54年度の分については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人松蔭学園は、申立人X1及び同X2の給与及び一時金について、次のとおり措置しなければならない。 (1)X1の昭和56年度から平成10年度までの月額給与を各年度とも〔表〕記載の「是正給与額」のとおり是正し、昭和55年度一時金は同年度既支給給与額を基礎として冬期3.0か月分、年度末0.2か月分に是正し、昭和56年度から平成10年度までの一時金は各年度〔表〕記載の「是正給与額」を基礎として夏期1.8か月分、冬期3.0か月分、年度末0.2か月分に是正して、既支給給与及び一時金並びに仮処分事件の和解による仮払金を控除した金額を、差額として支払うこと。 (2)X2の昭和56年度から平成8年度までの月額給与を各年度とも〔表〕記載の「是正給与額」のとおり是正し、昭和55年度一時金は同年度既支給給与額を基礎として冬期3.0か月分、年度末0.2か月分に是正し、昭和56年度から平成8年度までの一時金は各年度〔表〕記載の「是正給与額」を基礎として夏期1.8か月分、冬期3.0か月分、年度末0.2か月分に是正して、既支給給与及び一時金並びに仮処分事件の和解による仮払金を控除した金額を、差額として支払うこと。 (3)被申立人学校法人松蔭学園は、前各号の差額のうちX1の平成元年度分から同10年度分の差額及びX2の平成元年度分から同8年度分の差額に対して、年5分の割合による金員を付加して支払うこと。 2 被申立人学校法人松蔭学園は、前項を履行したときには、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 3 申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
(1)賃上げ、一時金に関して、合理的な理由を示さぬまま非組合員に比べ明らかに低額な回答額にあくまで固執した平成元年以降は、組合がその回答を妥結しないことを利用して定期昇給分の支給もせず、回答額の一部支給の申出にも応じようとしない学園の対応は、組合員の組合活動を嫌悪し、同人らに対する賃金支給をあくまで低額に押さえて生活困難に至らしめ、この差別によって精神的にもおいつめる意図のもとに行った不当労働行為に該当すると判断された例。
4418 継続する行為を認めた例
(2)学園は、組合を嫌悪しかつ組合員を差別する意図のもとに、毎年度の給与、一時金について差別した回答を繰り返し、これに対する組合の団交の場や文書による抗議若しくは是正申入れを認識しつつ、これを無視して差別的取扱いを継続していたのであるから、学園の不当労働行為意思が一貫して不断に存在していると判断され、組合が給与・一時金について抗議・是正申入れを行った後、本件各申立てに至るまでの間に学園が行った給与・一時金についての決定は、「継続する行為」に該当するとされた例。
5200 除斥期間
(3)54年度分給与・一時金については、同時期に組合が学園に対して抗議等を行い、是正を求めるなどの行為を行ったとの疎明がないことから、救済の対象期間とはしないこととされた例。
4415 賃金是正を命じた例
(4)組合らが請求する給与・一時金額は、合理性、納得性を具備しており、一方そのことを否定する疎明がないことから、本件においては、組合らが請求する給与額を是正後の給与額とすること、一時金は給与月額の夏期は1.8カ月分、冬期は3.0カ月分、年度末は0.2カ月分とすることが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集118集297頁 |
評釈等情報 |
 
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