概要情報
事件名 |
内山工業(一時金等) |
事件番号 |
岡山地労委 平成 2年(不)第6号
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申立人 |
内山工業労働組合 |
被申立人 |
内山工業株式会社 |
命令年月日 |
平成12年 4月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員に対し、一時金及び奨励金の支給について差別取扱いをしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)一時金について再査定のうえ差額支払い、(2)奨励金の差額支払い、(3)一時金等で組合員を不利益に扱うことによる支配介入の禁止、(4)文書交付を命じ、その余の申立て(遅延損害金の付加等)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、本件申立当時申立人内 山工業労働組合に所属していた次の組合員に対し、平成元年7月3日に支給し た平成元年上期賞与及び平成元年12月15日に支給した平成元年下期賞与を 次のとおり是正し、各人に既に支払った金額とこれによって算定した金額との 差額を支払わなければならない。 (1) 上期賞与 〈1〉 別紙2「賞与及び業績貢献金・奨励金支給一覧表」記載のNo.1 ~No.85及びNo.99~No.119の106人について、その平 均支給額が620,000円を下回らない限度において再査定すること。 〈2〉 上記〈1〉の再査定は、各人に既に支払った金額を下回らない程度 において行うこと。 (2)下期賞与 〈1〉 別紙2「賞与及び業績貢献金・奨励金支給一覧表」記載のNo.1 ~No.4,No.6~No.85及びNo.99~No.119の10 5人について、その平均支給額が657,000円を下回らない限度にお いて再査定すること。 〈2〉上記〈1〉の再査定は、各人に既に支払った金額を下回らない程度に おいて行うこと。 2 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、本件申立当時申立人内 山工業労働組合に所属していた別紙2「賞与及び業績貢献金・奨励金支給一覧 表」記載のNo.1~No.98の98人に対し、平成元年10月31日に支 給した奨励金について、各人に既に支払った金額と8万円との差額を支払わな ければならない。 3 被申立人内山工業株式会社は、申立人内山工業労働組合組合員に対し、賞与・ 奨励金等の支給に際し、その所属を理由に不利益に取り扱うことにより、申立 人内山工業労働組合の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人内山工業株式会社は、本件命令後速やかに、申立人内山工業労働組 合に対して、下記内容を記載した書面を交付しなければならない。 記 平成 年 月 日 内山工業労働組合 執行委員長 X1 殿 内山工業株式会社 代表取締役 Y1 当社行った貴組合員に対する次の支給に差別取扱いがあり、岡山県地方労働 委員会によって、労働組合法第七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為 であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいた します。 記 1 平成元年7月3日及び平成元年12月15日の平成元年上期賞与及び下期 賞与の支給 2 平成元年10月31日の奨励金の支給 5 申立人内山工業労働組合のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
平成元年上期及び下期の賞与の支給について、組合員とそれ以外の従業員との間に、昭和63年上期以前と比し突然不自然な格差が生じているが、会社は、この査定期間において組合員の勤務成績が急に低下し劣悪になったとの主張は一切行わず、組合員の勤務成績が以前と比較して急に低下し劣悪になったという特別の事情は存在しないと推認するほかないことから、この格差は、会社が会社の方針に従おうとしない組合を嫌悪し、その組合員を不当に不利益に取扱い、もって組合を弱体化しようとしたために生じたものと判断するのが相当であって、かかる行為は、労働組合法第七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1205 別組合員に対する特別手当の支給
2900 非組合員の優遇
奨励金の支給に際して、組合員への平均支給額と標準額である8万円との間に大きな格差が生じたが、会社は、具体的に何を根拠にどのように評価したのか、一切立証を行わなかったのであり、組合員の勤務成績と他組合の組合員のそれとは全体として格差がなかったものと推認されるのであるから、かかる行為は、労働組合法第七条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
5201 継続する行為
平成元年上期賞与(平成元年7月3日支給)は、下期賞与とともに、会社の不当労働行為の一環として昭和63年下期賞与から始まった賞与の支給差別であり、これらは一体として捉えられるもので労働組合法第二七条第二項の係属する行為に該当し、本件上期賞与の件についての救済申立て(平成2年10月31日申立)は申立期間内に解するとされた例。
4913 破産管財人
賞与に関しては、差別支給がなかったならば少なくとも組合員の平均支給額は、会社の従業員全体の平均支給額を下回ることはなかったものと考えられるため、組合員全体の平均支給額を下回らない限度において再査定した上で、各人に既に支払った金額とこれによって算出した金額との差額を支払うよう命じた例。
4407 バックペイの支払い方法
4413 給与上の不利益の場合
奨励金に関しては、組合員以外の従業員に対する平均支給額は標準8万円におおむね一致していたと推認されるので、組合員のうち、支給額が標準額8万円を下回るものに対し、8万円との差額を支給することを命じた例。
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
賞与及び奨励金に関し、組合員について合理的根拠なしに低査定ないし低評価に基づいて支給を行ったことは、不当な不利益取扱いに当たるとともに組合の弱体化を図る支配介入に当たることは明らかであるから、是正した金額の支払のほか、このような行為により組合に支配介入してはならない旨を命ずるものとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
組合は、賞与及び奨励金の差別支給について、謝罪文の掲示及び支給日より解決する日までの利息の付加を求めているが、諸般の事情を総合し、謝罪文の掲示については文書交付に変え、利息の付加についてはこれを付さないことをもって相当であると判断された例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集116集643頁 |
評釈等情報 |
 
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