概要情報
事件名 |
大口製本印刷 |
事件番号 |
東京地労委 平成 8年(不)第2号
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申立人 |
連帯労働者組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
大口製本印刷株式会社 |
命令年月日 |
平成12年 3月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合執行委員長に対し、配置転換を命じたこと、(2)当該配置転換命令以降、本件配置転換命令の撤回、組合掲示板の設置、7年冬期一時金の支給等を求める団体交渉を拒否したことが争われた事件で、配置転換命令の撤回・撤回後の就労場所等についての団交応諾、組合掲示板の設置・7年冬期以降の一時金の支給及び8年度以降の賃上げについての団交応諾、文書掲示、履行報告を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人大口製本印刷株式会社は、平成7年10月11日に発した申立人X 1に対する同月21日付をもって配置転換を行うとの命令を撤回し、撤回後の 同人の就労場所および担当業務について、申立人連帯労働者組合が団体交渉を 申し入れたときはこれに応じなければならない。 2 被申立人会社は、申立人組合が申し入れた、組合掲示板の設置および7年冬 期以降の夏期・冬期の一時金の支給並びに8年度以降の賃金引上げを交渉事項 とする団体交渉に応じなければならない。 3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル ×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記の内容を楷書 で明瞭に墨書して、本社工場内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しな ければならない。 記 年 月 日 連帯労働者組合 執行委員長 X2 殿 大口製本印刷株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合の組合員X1氏に対して平成7年10月21日付をもって 配置転換を行うとの命令を発したこと、および貴組合が申し入れた(1)上記 配置転換命令の撤回、(2)組合掲示板の設置、(3)7年冬期以降の夏期・ 冬期の一時金の支給、(4)8年度以降の賃金引上げを交渉事項とする団体交 渉に応じなかったことは、いずれも東京都地方労働委員会において不当労働行 為に該ると認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注:年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 4 被申立人会社は、前各項(但し、第一項後段を除く。)を履行したときは、 速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件配転命令は、組合執行委員長であるX1を、本社工場以外の従業員数が最も少ない紙器印刷部に移すことによって組合の影響力を本社工場から排除し、かつ少人数職場に封じ込めることを意図したものとみるのが相当であり、支配介入に該るが、職務内容、賃金等の労働条件について如何なる不利益が生ずるかについて疎明がないから、不利益取扱いには該当しないとされた例。
2212 交渉の場所・時間
2213 交渉人数
2215 上部団体参加否認
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
本件配転命令以降の会社の団体交渉拒否は正当な理由のないものであるとともに、合同労働組合である組合を嫌悪・否認する動機に基づくものとみるのを相当とし、支配介入にも該当するとされた例。
4603 その他
会社に対し、本件配転命令を一旦撤回し、撤回後の同人の就労場所および従事すべき業務内容について、組合から団体交渉の申入れがあったときはこれに応ずべきことを命ずることとされた例。
4505 その他
本件配転命令については重ねて団交を命ずる必要はなく、従業員用バス運行問題及び非組合員のアルバイト等に対する冬期一時金の支給に関する事項は義務的団交事項でないこと等を考慮して交渉事項から外した上で、会社に対し、組合掲示板の設置、7年冬期以降の夏期・冬期の一時金の支給、8年度以降の賃金引上げ問題について団体交渉を命ずることが相当とされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集116集571頁 |
評釈等情報 |
 
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