概要情報
事件名 |
とりせん |
事件番号 |
群馬地労委 平成 9年(不)第1号
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申立人 |
ゼンセン同盟とりせん労働組合 |
申立人 |
ゼンセン同盟 |
被申立人 |
株式会社とりせん |
命令年月日 |
平成12年 3月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)定時社員組合員のチェック・オフを拒否したこと、(2)従業員に対し、会社職制をして、組合に加入するかしないかは自由であることを伝えさせたこと等がそれぞれ争われた事件で、 群馬地労委は、会社に対し、(1)賃金控除協定の労働組合費の適用に関し、定時社員組合員を排除することの禁止、(2)職制を通じ、組合員を含む従業員に対し、ユニオンショップ協定を締結しないことを理由に、組合加入・不加入は自由に決められる旨の言動を以て組合脱退・不加入の慫慂による支配介入禁止、(3)履行報告を命じ、その余の申立て(文書手交及び文書掲示)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和54年3月1日付け「賃金控除に関する協定書」第一項(1)の適用に関して、提示社員組合員を排除してはならない。 2 被申立人は、その職制を通じ、申立人ら所属組合員を含む従業員に対し、ユニオン・ショップ協定を締結していないことを理由に、組合に加入するか、しないかは自由に決められるという旨の言動を以て、組合脱退及び不加入を慫慂し、申立人らの組合運営に介入してはならない。 3 被申立人は、前第一項に命ずるところを履行したときは、遅滞なく当委員会に文書で報告しなければならない。 4 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
(1)会社が労働組合費のみ賃金控除を拒否する理由を主張し始めたのは、定時社員の組合員組織化を拒否する根拠としていた58年覚書が組合の申し入れにより失効した直後であったことが認められるのであり、申立日現在も、賃金控除協定に基づいて、正社員及び準社員組合員に対するチェック・オフを行っている事実が認められるから、会社が定時社員組合の労働組合費のみ賃金控除を行わないことに、合理的な理由は見出し難く、組合の組織、運営に介入したものと判断され、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為である。
2620 反組合的言動
(2)会社が、「考え方」と題する文書を所属長に配布し、従業員に周知説明させたが、文章全体として評価すれば、賃金控除協定に関して、組合側から一方的に破棄解約の予告を行われた会社としては、今後のチェック・オフについての方針を至急従業員に説明しなければならなかったこと等の事実は認められるのであって、「考え方」に示された個々の言動それ自体が上部組合および組合の信用を毀損し、組合運営への支配介入行為であるとはいえない。
2620 反組合的言動
(3)会社が、「従業員の皆様へ」と題する文書を各店長に配布し、朝礼等の場で読み上げさせ、「会社は組合とユニオンショップ協定を結んでおりません。ですから皆さんは組合に加入するか、しないかは自由に決められます。」等の会社の見解を伝達したことは、当該文書自体は、ユニオンショップ制の一般的説明であるとはいえ、組合の自主権であって使用者が干渉してはならない組合加入脱退の問題に直接言及したものであり、当時の状況下においては、使用者の言論の自由を逸脱するものであって、組合の組織、運営に介入したものと判断され、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為である。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集116集507頁 |
評釈等情報 |
 
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