労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  岩手牛乳 
事件番号  岩手地労委 平成10年(不)第1号 
申立人  岩手中小一般労働組合 
被申立人  株式会社岩手牛乳 
命令年月日  平成12年 2月21日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)基本給の引き上げ等について団体交渉を拒否したこと、(2)組合員に対し脱退勧奨を行ったこと、(3)組合員を関連会社へ出向させたこと、(4)組合を否認する言動を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)基本給の引き上げ等について誠実に団交に応ずること、(2)脱退勧奨を行わないこと、(3)出向した組合員を出向前の原職又は原職相当職に復帰させること、(4)組合を否認するなどしての組合の組織運営への支配介入の禁止を命じた。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合の存在を認め、平成9年度及び10年度の基本給の引き上げ並びに退職金支給規定に定める退職金の支給率の改定について、申立人組合と誠実に団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の岩手牛乳支部組合員に対し、「組合を辞める気があるか。」、「組合を辞めるのか残るのかはっきりしろ。」などと発言して、申立人組合からの脱退を勧奨してはならない。
3 被申立人会社は、申立人組合の存在を否認したり、申立人組合の岩手牛乳支部組合員に対し、「会社が解散すれば申立人組合も解散になる。」などと発言して、申立人組合の組織運営に支配介入してはならない。
4 被申立人会社は、申立人組合の岩手牛乳支部組合員X1を、被申立人会社における平成10年4月11日付けの出向前の原職又は原職相当職に復帰させなければならない。 
判定の要旨  2901 組合無視
会社が、申立人組合の提出した文書の受領を拒否したこと等の一連の行為は、会社の団結権保障についての無知ないし無理解に基づくものにほかならず、申立人組合の存在を明らかに無視ないし否定するものであって、申立人組合の自主的な組織や運営に対する不当な干渉として、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2213 交渉人数
2240 説明・説得の程度
春闘における賃上げ交渉において、組合は、組合員複数名の出席を申し入れているが、現会長が経営参画後は、会長が支部長を呼び出し、一方的に話をするという態様に変化していることが認められ、このような一方的な説明をもって、会社が誠意ある団体交渉を尽くしたものと解することはできず、また会社の外部の人間が入っている組合とは交渉しない等の意向を示して団体交渉を拒否しているのは、正当な理由と認められず、かかる会社の対応は、労働組合法七条第二号の不当労働行為と言わざるを得ないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
会長等による組合員に対する組合脱退の意思の確認は、組合からの脱退強要の意図の下になされたものと判断するのが相当であり、また、Y1主任が組合員に対し脱退勧奨を行ったことについて、会長はこれを十分知り得たにもかかわらず、これを阻止することもなく、むしろ容認していたことから、代表者の行為でないとして、その責任を免れることはできないと解するのが相当であり、これらの行為は、組合員への脱退強要及び脱退勧奨により、組合の弱体化を図った行為であり、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であると言わざるを得ないとされた例。

1301 出向
組合員X1の出向について、脱退勧奨を拒否した直後に命じられたこと、また係長として会社の事務職に復帰して半年もたたないうちに、その意に反して、役職もなく部下職員もいない職場に出向させられたものであり、X1に対し嫌がらせとも言うべき不利益取り扱いをしたものであって、通常従業員が当然に甘受すべき範囲を越えた不当なものといわざるを得ず、労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
岩手中小一般加入について、会社はこれを認めていないという組合活動に対する会長等の発言は、組合への加入による不利益の招来を繰り返し示唆することによって組合員に動機を与え、ひいては申立人組合を社内から排除せんとする労働者の団結権を侵害するものであることは明らかであり、組合の弱体化を図った支配介入行為と認められ、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集116集245頁 
評釈等情報   

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