概要情報
事件名 |
丸文 |
事件番号 |
神奈川地労委 平成10年(不)第11号
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申立人 |
X1 |
被申立人 |
株式会社丸文 |
命令年月日 |
平成13年12月26日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)支部長に対し一方的に自宅待機命令を行ったこと、(2)同人に対し懲戒解雇予告直後に配置転換を行ったこと、(3)組合に対し組合が主要な備品を置いている営業所への立入りを禁止したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)自宅待機命令及び配置転換がなかったものとしての取扱い、(2)原職相当職への復帰、(3)自宅待機命令及び配置転換がなかったならば得られたであろう賃金相当額と現に支払った賃金額との差額の支払、(4)文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1に対する平成10年4月1日付け自宅待機命令及び同 年6月30日付け配置転換命令がなかったものとして取り扱い、次の措置を講 じなければならない。 (1)X1を原職相当職に復帰させること。 (2)X1に対し、上記自宅待機命令及び配置転換命令がなかったならば支給さ れるべきであった賃金相当額と現に支払った賃金の額との差額に相当する額 の金員を支払うこと。 2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書をA3版の白紙に楷書で明 瞭に記載し、関東支店の各営業所内の従業員が見易い場所に、毀損することな く10日間掲示しなければならない。 記 当社が、貴殿に対し、平成10年4月1日付けで自宅待機命令を発したこと 及び同年6月30日付けで配置転換命令を発したことは、神奈川県地方労働委 員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であ ると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 X1 殿 株式会社丸文 代表取締役 |
判定の要旨 |
0211 その他の組合活動
支部長が、会社に対し、未払い賃金請求書を送付した行為は、請求書の内容が直接的には個人に係る未払い賃金の支払いを求めるものではあるが、会社の行為を指摘し、組合員の労働条件の改善を求めるものであり、全従業員に共通な事項を争点とすることを通して、組合員の労働条件の改善を求めるものであること、また、会社に労働基準法違反があるとしてその是正を求め、組合の労働条件の改善を目指すものであるから、労働組合の正当な行為に含まれるとされた例。
1300 転勤・配転
会社の支部長に対する自宅待機命令は、支部長に十分な弁明の機会を与えないで、事情聴取を行い、処分に付することを前提に自宅待機を命じたものであり、しかも、同人の懲戒解雇処分の予告については組合から同意が得られず、訴訟の控訴審判決でも敗訴したことから、急遽、支部長に対して配置転換命令を発したものであり、これらの一連の会社の行為は、その方針や施策に反して行われる支部長の組合活動を嫌悪し、同人に対する不利益な取扱いをするとともに、組合活動を封じ込めることにより他の組合員への影響を排除しようとして行われたもので、合理性が認められないことから、支部長の組合活動を理由とする不利益取扱い及び支配介入として、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集121集502頁 |
評釈等情報 |
 
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