概要情報
事件名 |
金港交通 |
事件番号 |
神奈川地労委 平成13年(不)第17号
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申立人 |
全国一般神奈川金港交通労働組合 |
申立人 |
全国一般労働組合全国協議会神奈川 |
被申立人 |
金港交通株式会社 |
命令年月日 |
平成14年12月20日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員の労災問題は労働基準監督署で決定した事項であり、会社としては如何ともしがたい問題であるとして団体交渉を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)誠実団交応諾、(2)組合を認めないなどしての支配介入の禁止、(3)(1)及び(2)に関する文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人全国一般神奈川金港交通労働組合からの団体交渉申入れ に対し、従業員でない者がいることを理由に拒否することなく誠実に応じなけ ればならない。 2 被申立人は、申立人全国一般神奈川金港交通労働組合について労働組合とは 認めないという対応をするなどして、その運営に介入してはならない。 3 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を縦1メートル、横1.5 メートルの白紙に楷書で明瞭に記載し、被申立人の本社及び各営業所の従業員 の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければならない。 記 当社が、全国一般神奈川金港交通労働組合からの団体交渉申入れに対して一 切応じなかったこと及び全国一般労働組合全国協議会神奈川との団体交渉を誠 実に行わなかったことは労働組合法第七条第二号に該当する不当労働行為であ り、その際に全国一般神奈川金港交通労働組合を労働組合として認めないとい う態度をとったことは同条第三号に該当する不当労働行為であると神奈川県地 方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 全国一般労働組合全国協議会神奈川 執行委員長 X1 殿 全国一般神奈川金港交通労働組合 執行委員長 X2 殿 金港交通株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
2114 組合の不存在
会社は、支部については、組合員の範囲を会社の従業員に限定している既存の労働組合との労働協約の一般的拘束力が及ぶから労働組合とは認められないとするが、一般的拘束力を定める労組法第一七条の適用対象となるのは当該事業場の他の労働者であり、労働組合ではないし、対象となるのは労働条件の基準に関する部分のみであることから、この主張は採用されないとされた例。
2303 福利厚生
組合員に対する会社の安全配慮義務違反に関する事項は、当該組合員が現に従業員であるか否かに拘わらず団体交渉の議題として適切なものであり、同人が退職したことをもって団体交渉拒否の正当理由とは認められないとされた例。
2114 組合の不存在
2302 労務管理・労使関係
支部の団体交渉申入れを拒否する理由として会社は、既存の労働組合との労働協約の一般的拘束力が支部に及ぶこと、退職者の労災問題を会社が取り上げる訳にはいかないことを挙げるが、いずれも団体交渉拒否の正当理由とは認められず、議題の如何を問わず一切の団体交渉に拒否している会社の対応は、労働組合法第七条第二号の不当労働行為に当たり、また、支部の存在そのものを認めない対応に終始していることは、労働組合法第七条第三号の不当労働行為に当たるとされた例。
2123 その他交渉出席者
会社が、従業員でない組合の会計部長が支部役員をしていることを理由に支部との団体交渉に応じなかったことは、労働組合法第七条第二号の不当労働行為に当たるとされた例。
4500 交渉拒否理由または交渉条件に関する指示に触れた例
支部に対する団体交渉拒否や支部の組合役員人事を理由に支部の存在自体を認めないという会社の対応は、本件結審時においても引き続いているので、支部からの団交申入れに対し、従業員でない者がいることを理由に拒否することなく、誠実に団体交渉に応じること、及び支部を認めないなどしての支配介入の禁止を命じること、並びに他の労働組合から支部との団体交渉を拒否するよう求める旨の「要望書」が出されていること及び今後これらと同様の行為が繰り返される虞があることから、文書掲示を命じるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集124集544頁 |
評釈等情報 |
 
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