労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本体育施設運営 
事件番号  東京地労委 平成13年(不)第86号 
申立人  スポーツクラブNASユニオン 
被申立人  日本体育施設運営株式会社 
命令年月日  平成14年12月 3日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、組合が結成直後の平成13年7月に申し入れた便宜供与等に関する団体交渉及び平成14年2月に申し入れた組合員の配置転換のルールに関する団体交渉について、会社が、組合には使用者の利益代表者に当たる事業所長(通称支配人)が加入していることを理由に応じないことが争われた事件で、地労委は、(1)2つの団交申入れについての誠意ある応諾、(2)文書交付、(3)地労委への履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人日本体育施設運営株式会社は、申立人スポーツクラブNASユニオンが、平成13年7月25日付「申入書」に関し同日に申し入れた団体交渉、及び組合員の配置転換のルールに関し14年2月19日に申し入れた団体交渉を、申立人組合に事業所長が加入していることを理由に拒否してはならず、誠意をもって応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領後1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
      記
           年 月 日
 スポーツクラブNASユニオン
   執行委員長 X1 殿

        日本体育施設運営株式会社
         代表取締役 Y1

 当社が、貴組合からの平成13年7月25日付「申入書」に関し同日に申し入れられた団体交渉、及び組合員の配置転換のルールに関し14年2月19日に申し入れられた団体交渉に応じなかったことは、東京都地方労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注: 年月日は文書を交付した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前各項を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  4825 その他
5140 資格審査
支配人は、パート・アルバイト社員等については人事権を持つ監督的地位にある労働者に該当するが、申立人組合は正社員・契約社員のみによって組織されているから、組合が支配人を参加させることによって自主性を失うおそれが生じるとはいえないこと、支配人は、正社員及び契約社員の昇格、賞与について第一次考課を行うのみであり、労働関係についての計画と方針に関する機密事項に接しているとは考えられず、支配人が組合員としての誠意と責任とに直接抵触するとはいえないこと、業務についても他の従業員と同様の業務に費やす時間が人事及び事業所運営業務に費やす時間よりはるかに多いこと、支配人会議は事業所の営業報告や会社の経営方針、経営戦略を伝達する会議であって、支配人として発言や意見を積極的に求められることはなく、会社の運営方針そのものについて決定する権限を有しているとはいえないこと等からすれば、支配人は使用者の利益代表者に該当するとは言えず、支配人の加入する組合は申立適格を有するとされた例。

5140 資格審査
労働委員会は労働組合が労組法5条2項所定の要件を具備するか否かを審査するに当たって、同条同項1号ないし9号に規定する内容が組合規約に記載されているか否かを精査すれば足り、組合規約所定事項が実際に如何に履行されているかは、すぐれて組合内部の問題であり、その調査は労働委員会の任務ではなく、ましてや使用者の容喙すべき問題ではなく、組合が自ら定めた組合規約の方法によらず役員選出等を行ったことは好ましいことではないが、組合が申立適格を欠くとはいえないとされた例。

2113 交渉団体として不適格
支配人は使用者の利益代表者に該当しないのであるから、会社が支配人は使用者の利益代表であることを理由として団体交渉を拒否していることは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとされた例。

業種・規模  その他の事業サービス業(建物サービス業、民営職業紹介所、警備業等) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集124集423頁 
評釈等情報   

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