事件名 |
恵和会 |
事件番号 |
北海道地労委 平成14年(不)第4号
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申立人 |
医療法人社団恵和会労働組合 |
被申立人 |
医療法人社団恵和会 |
命令年月日 |
平成14年 9月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
法人が、執行委員長X1が管理職であることを理由として団交を拒否
したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)執行委員長X1名義での団交申入れがあった場合の団交応諾、
(2)職制ごとの労務管理権限等を考慮せずに管理職の組合加入を阻害する等の支配介入の禁止、(3)(1)及び(2)に関す
る文書掲示を命じ、その余の申立て(謝罪広告掲載等)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が、執行委員長X1名義で団体交渉を申し入
れた場合、これに誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、理事会で、管理職を非組合員とすると決めたことに固執して、その職制ごとの労務管理権限等を個別に考慮せ
ず、執行委員長が管理職であることを理由に団体交渉申入れを拒否したり、管理職の組合加入を阻害するなどして、申立人の運営
に支配介入してはならない。
3 被申立人は、次の内容の文書を縦・横各1メートルの大きさの白紙にかい書で明瞭に記載し、被申立人の経営する宮の森病院
の従業員出入口の見やすい場所及び病院内掲示板の計2か所に、本命令書写しの交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を
継続しなければならない。
当法人が、理事会で、管理職を非組合員とすると決めたことに固執して、その職制ごとの労務管理権限等を個別に考慮せ
ず、執行委員長が管理職であることを理由に団体交渉申入れを拒否したり、管理職の組合加入を阻害するなどした行為は、北海道
地方労働委員会において、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにします。
平成 年 月 日(掲示する初日を記入すること。)
医療法人社団恵和会労働組合
執行委員長 X1 様
医療法人社団恵和会
理事長 Y1
4 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
2625 非組合員化の言動
組合執行委員長であり、病院放射線科長であるX1は、人事考課を行っているが、これは、あくまでも現場の直属の上司としての
一次的な考課表を提出するにとどまり、一般的な給与・人事上の権限はなく、利益代表者としての人事管理権限は認められないか
ら、X1が執行委員長であることをもって会が団体交渉を拒否したことは、労働組合法第七条第二号の不当労働行為であるととも
に、不適切な職制管理により、管理職は組合に加入できないとして組合員の範囲を不当に制約し、組合運営に支配介入したこと
は、同条第三号の不当労働行為に当たるとされた例。
4505 その他
組合による副執行委員長名での団体交渉申入れは夏期賞与の大幅減額という緊急性のある団体交渉事項が発生し、何としても団体
交渉を成立させたいとするやむを得ない選択から生じたものであり、また、X1の身分の変更についても、組合がこれを争う姿勢
を示しているなど未解決であることから、組合として団体交渉応諾を求める利益が認められ、組合が執行委員長X1名義で団体交
渉を申し入れた場合、会社はこれに誠実に応じなければならないと命じるのが相当であるとされた例。
4603 その他
会社が、漫然と管理職の組合加入を禁止し、6か月にもわたり団体交渉を拒否したことは、組合の運営に対する悪質な支配介入に
当たるから、会社に対し、理事会で管理職を非組合員とすると決めたことに固執して、その職制ごとの労務管理権限等を個別に考
慮せず、執行委員長が管理職であることを理由に団体交渉申入れを拒否したり、管理職の組合加入を阻害するなどして組合の運営
に支配介入してはならないことを命じるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集124集127頁 |
評釈等情報 |
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