概要情報
事件名 |
星美学園 |
事件番号 |
東京地労委 平成12年(不)第12号
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申立人 |
全労協全国一般東京労働組合 |
被申立人 |
学校法人星美学園 |
命令年月日 |
平成14年 9月 3日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が、(1)分会員の労働条件、組合への便宜供与等に関する団交を拒否したこと、(2)分会のビラ配布活動に対し文書を配布したこと、(3)教務部長らが分会の結成や組合活動を非難する発言をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)誠実団交応諾、(2)教務部長らの言動による支配介入の禁止、(3)(1)(2)に関する文書交付及び掲示、(4)履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人星美学園は、申立人全労協全国一般東京労働組合が組合員 の労働条件、団体交渉のルール及び便宜供与等に関する事項について団体交渉 を申し入れたときは、学園の主張の根拠を具体的に説明するなどして、誠実に 応じなければならない。 2 被申立人学園は、文書の配布や被申立人学園の小学校の教務部長や宗教部長 らの言動により申立人組合への加入を抑止するなどして、申立人組合の運営に 支配介入してはならない。 3 被申立人学園は、本命令書受領後1週間以内に、下記内容の文書を申立人組 合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメ ートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、学園小学校の職員室 の教職員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 全労協全国一般東京労働組合 執行委員長 X1 殿 学校法人星美学園 理事長 Y1 当学園の行った下記の行為は、東京都地方労働委員会において不当労働行 為であると認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう留意 します。 記 (1) 貴組合から申入れのあった団体交渉において、回答の根拠を具体的 に説明しなかったこと、及び平成13年7月25日以降双方の主張が 平行線であるとして団体交渉に応じなかったこと。 (2) 貴組合の組合活動に対する不利益を示唆する文書を配布したこと、 及び当学園の小学校の教務部長や宗教部長らの言動により組合加入を 抑止したこと。 (注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。) 4 被申立人学園は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告し なければならない。 5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
学園が配布した「見解書」の内容は、組合が違法な行為をする虞があり、これに対して厳しい処分をもって臨むとの学園の認識を強く印象づけるもので、教職員の組合加入を抑止する効果をもつものであること、また、教務部長らの分会の結成や活動を非難する発言は、教職員の組合加入を抑止する学園の意図に基づき、あるいは学園の意を体してなされた行為であると解するのが相当であることから、これら一連の行為は労働組合法第七条第三号の不当労働行為に当たるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2244 特定条件の固執
学園は、団体交渉で一旦回答を示すと、これを変更ないし修正したことはなく、回答の理由についても説得的な理由を示さないまま交渉は平行線であるとして以降の団体交渉を拒否しており、また、学園は、団体交渉に応じたときも従来の回答を繰り返すのみであることから、合意の形成に向けて努力を行っていないと評価せざるを得ず、このことは労働組合法第七条第二号の不当労働行為に当たるとされた例。
4505 その他
組合は、団体交渉において組合と学園とが実質的な交渉を行うよう求めているとみられ、今後の春闘要求など労働条件に関する組合の要求についても学園の同様な態度が予想されるから、「学園は、組合が団体交渉を申し入れたときは学園の主張の根拠を具体的に説明するなど誠実に対応しなければならない」旨命じることとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集124集68頁 |
評釈等情報 |
 
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