概要情報
事件名 |
大正物流倉庫 |
事件番号 |
大阪地労委 平成11年(不)第62号
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申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
申立人 |
全国金属機械労働組合港合同大正物流倉庫分会 |
被申立人 |
Y2 |
被申立人 |
大正物流倉庫株式会社 |
被申立人 |
Y1 |
命令年月日 |
平成14年 8月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)事前協議同意約款を無視して会社を計画的に倒産させ、組合員を解雇したこと、(2)約束した団交及び文書回答を反古にし、団交を拒否し続けていることが不当労働行為であるとして争われた事件で、事前協議申入れをしなかったこと及び団交で約束した文書回答をしなかったことに関して文書手交を命じ、その余の申立て及び破産管財人に対する申立ては棄却。会社代表取締役に対する申立ては却下。 |
命令主文 |
1 被申立人大正物流倉庫株式会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手 交しなければならない。
記 年 月 日
全国金属機械労働組合港合同 委員長 X1 殿 全国金属機械労働組合港合同大正物流倉庫分会 分会長 X2 殿
大正物流倉庫株式会社 代表取締役社長 Y1
当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第 七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であると認められました。今後 、このような行為を繰り返さないようにいたします。 (1)破産申立てに伴って組合員を解雇するに当たり、貴全国金属機械労働組合 港合同及び貴全国金属機械労働組合港合同大正物流倉庫分会に対し、事前協 議同意約款による事前協議の申入れをしなかったこと。 (2)平成11年10月2日の貴全国金属機械労働組合港合同及び貴全国金属機 械労働組合港合同大正物流倉庫分会との団体交渉で、立替金、仮払金、使途 不明金一切について、同月12日までに文書で回答すると約束したにもかか わらず、この回答をしなかったこと。 2 被申立人大正物流倉庫株式会社に対する申立人のその他の申立ては、棄却する 。 3 被申立人破産者大正物流倉庫株式会社破産管財人Hに対する申立人の申立て は、棄却する。 4 被申立人Y1に対する申立人の申立ては、却下する。 |
判定の要旨 |
4912 破産事業における使用者
会社資金の流用問題について、代表取締役社長Y1は、会社に対して個人として損害賠償責任を負うことがありうるが、仮に私的流用が認められたとしても、会社は単なる名目上の存在にすぎず、会社が同人の個人経営によるものであったとまでみることはできず、また、同人が、会社とは別に、個人として労働者の労働関係上の諸利益に何らかの影響力を及ぼし得る地位にあったとする疎明もないことから、Y1は、労働組合法第七条の「使用者」に当たらない。
1800 会社解散・事業閉鎖
3105 事業廃止、工場移転・売却
4912 破産事業における使用者
会社は、経済環境の変化によって海運部門の廃止等を余儀なくされ、経営を悪化させるとともに、これに伴う資金の行き詰まりによって破産申立てに至ったものとみるのが相当であり、破産申立ては経営上やむを得ない対応であり、会社が組合壊滅を目的として、あえて破産申立てや組合員を解雇したとみることはできず、会社の破産申立て等は不当労働行為に当たらない。
2901 組合無視
組合と会社との間には労働条件・企業計画等の変更に係る事前協議同意約款が締結されているにもかかわらず、事前協議の申入れを行わずに会社が組合員を解雇したことは、組合の存在を無視又は軽視したもので、労組法第七条第三号の支配介入に当たる。
4913 破産管財人
組合から管財人に対する団交申入れの事実がないこと、また、会社の破産申立てや解雇が不当労働行為に当たらないことから、管財人として組合に対応すべき事項は存在せず、管財人に対する申立ては認められない。
2242 回答なし
会社は、団体交渉に3回応じていることから、全体としては団体交渉拒否には当たらないが、最後の団体交渉において約束した文書での回答が放置された状態になっていることから、この点については不誠実な団交態度で、労組法第七条第二号の不当労働行為に当たる。
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業種・規模 |
水運業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集123集393頁 |
評釈等情報 |
 
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