概要情報
事件名 |
日本石油化学(便宜供与等) |
事件番号 |
神奈川地労委 平成12年(不)第11号
|
申立人 |
化学川崎地域労働組合 |
被申立人 |
日本石油化学株式会社 |
命令年月日 |
平成14年 5月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、(1)就業時間内に開催した団交における賃金補償、組合掲示板の貸与等の便宜供与について、組合間差別をしたこと、(2)交渉権限を有する者を組合との団交には出席させない等団交に誠実に応じなかったことが争われた事件で、(1)就業時間中に開催された団交への出席を理由としてカットした賃金補償相当額の支払、(2)組合掲示板の貸与、(3)便宜供与に関する別組合との差別的取扱の禁止、(4)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人への便宜供与に関し、次の措置を講じなければならない。 (1)申立人組合員X1及び同X2に対し、就業時間内に開催した申立人との団 体交渉に同人らが出席したことについて賃金補償をしたならば支給したであ ろう賃金に相当する額の金員を支払うこと。 (2)申立人に対して組合掲示板を貸与するものとし、その設置場所、大きさ、 個数など具体的条件について申立人と速やかに協議をすること。 2 被申立人は、申立人への便宜供与について日石三菱労働組合と差別するなど して申立人の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交しなければ ならない。
記 当社が、就業時間内に開催した貴組合との団体交渉に出席した分会員に対し て賃金を補償しなかったこと及び貴組合に対して組合掲示板を貸与しなかった ことは労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であり、貴組合との団 体交渉を誠実に行わなかったことは労働組合法第七条第二号及び第三号に該当 する不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日 化学川崎地域労働組合 執行委員長 X3 殿
日本石油化学株式会社 代表取締役 Y1
4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2246 併存団体との関係
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
就業時間内の団体交渉出席者に対する賃金補償並びに組合掲示板貸与に係る別組合と異なる取扱いには合理的理由が認められず、これは組合の活動を封じ込め、その弱体化を図る意図によるものであるとして、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2246 併存団体との関係
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
社内に併存する複数の労働組合に対して組合事務所を貸与するに当たり、当該労働組合の性質、組合員数の多寡、使用する者が下部組織であるか否かなどの考慮して均衡を図ることは許されると解すべきであり、九名の組合の分会に組合事務所を貸与しないことには合理的理由が認められ、不当労働行為に当たらないとされた例。
2245 引き延ばし
2901 組合無視
組合の団体交渉申入れから実質的に会社が交渉に応じた事務折衝まで約二ヶ月半経過しており、会社が事務折衝まで話合いを遅延させたことは不誠実な対応、かつ、組合の存在を軽視した行為であるとして、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2123 その他交渉出席者
団体交渉には決定権限を有する者が出席しなくても交渉権限を委任された者が出席すれば足り、組合との団体交渉には交渉権限が委任されている課長2名が出席し、平成13年度昇給などについて妥結していること等からすると、これらの者を団体交渉責任者としていることは不当労働行為には当たらないとされた例。
2246 併存団体との関係
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合が求める便宜供与を全面的に認めようとしない会社の対応は、別組合に対して労働協約で各種便宜供与を認めている以上、誠意あるものとは言えず、また、組合の存在を無視するものであるとして、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2246 併存団体との関係
2901 組合無視
賃金制度の改定に関する団体交渉について、組合に提案したのは別組合と妥結した後の団体交渉においてであり、しかも、別組合と妥結した内容で新賃金制度を全従業員に一律に適用した会社の対応は不誠実で、組合の存在を軽視したものであると言わざるを得ないとして、会社の同団交の対応は、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2246 併存団体との関係
2901 組合無視
平成12年度昇給に関する団体交渉について、会社が別組合に回答している基本給に対する査定昇給の原資及び各職能資格毎の最高基準基本給について回答せず、全従業員に対して平成12年度昇給を実施した会社の対応は不誠実で組合の存在を軽視したものであるとして、会社の同団交の対応は、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2246 併存団体との関係
2901 組合無視
平成11年度後期賞与金及び平成12年度前期賞与金に関する団体交渉について、別組合に回答している会社配分を組合に回答せず、これら賞与金を全従業員に対して支給した会社の対応は不誠実で組合の存在を軽視したものであるとして、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2249 その他使用者の態度
平成13年度昇給、平成12年度後期賞与金及び平成13年度前期賞与金に関し文書回答を拒否したとしても、文書回答でなければ不誠実な団体交渉であるとは言い難いとして、会社の同文書回答拒否が不当労働行為に当たらないとされた例。
|
業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集123集100頁 |
評釈等情報 |
 
|