概要情報
事件名 |
信濃整肢療護園 |
事件番号 |
長野地労委 平成13年(不)第1号
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申立人 |
長野県医療労働組合連合会 |
申立人 |
稲荷山医療福祉センター労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人 信濃整肢療護園 |
命令年月日 |
平成14年 5月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
法人が、(1)配置転換及び組合員の懲戒処分に関する団交における、団交人数や交渉時間を制限することによる不誠実団交、(2)組合副執行委員長に対する組合への干渉発言をしたことが争われた事件で、(1)組合への干渉発言等による支配介入の禁止、(2)文書掲示を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、次の行為をして申立人の運営に支配介入してはならない。 (1)申立人稲荷山医療福祉センター労働組合の活動を非難すること。 (2)同組合の幹部を誹謗し、中傷すること。 (3)申立人が提出した要求書の受領を先延ばしすること。 2 被申立人は、下記の文書を縦55センチメートル、横40センチメートル( 新聞紙1頁大)の白紙に楷書で明瞭に記載して、稲荷山医療福祉センターの全 職員の見やすい場所に、き損することなく7日間掲示しなければならない。
記 平成 年 月 日 稲荷山医療福祉センター労働組合 執行委員長 X1 様 長野県医療労働組合連合会 執行委員長 X2 様 社会福祉法人 信濃整肢療護園 理事長 Y1 稲荷山医療福祉センター 所 長 Y2
当センターが行った次の行為は、この度、長野県地方労働委員会により、不 当労働行為と認定されました。法人及び当センターは、今後、再びこのような 行為を繰り返さないようにいたします。 (1)稲荷山医療福祉センター労働組合の活動を非難したり、同組合の執行委 員長を誹謗し、中傷したこと。 (2)稲荷山医療福祉センター労働組合及び長野県医療労働組合連合会が提出 した要求書の受領を先延ばしして、同組合の活動を阻害したこと。 (3)組合員に対する懲戒処分を議題とする団体交渉を拒否したこと。
3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2212 交渉の場所・時間
2213 交渉人数
国が経営する稲荷山センターの団体交渉応諾までの対応には一部誠実さを欠く部分が認められるが、交渉人員数や交渉時間の制限が行われたのは一度だけで、それ以降はこれに固執していたとは認められないことから、不当労働行為に当たらないとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
所長が組合員2名を所長室に呼び出した目的は、稲荷山センターで行われているケース検討会での口論について両名を戒めることにある等からすると、その発言に両名が組合活動をする資格がないという趣旨が含まれていたと解することはできず、そのほかに組合活動に影響を与える発言も認められないことから、本件所長の発言は支配介入に当たらないとされた例。
2620 反組合的言動
主任会の場での所長の組合活動を非難発言については、具体的な事実を認めるに足りる疎明がないとされた例。
3020 組合活動への制約
執行委員長の押印がなかったことを理由に要求書を返還したり、要求書の日付を直して提出するよう求めたりする等の稲荷山センター事務長の一連の行為は、団体交渉開催を求める組合活動を阻害する行為であり、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
稲荷山センター所長の組合執行委員長に対する発言は、稲荷山労組を率いる執行委員長としての資質又は進退に言及した発言であり、また、同センター幹部らの発言は、組合活動を非難するものであるとともに、組合の内部運営にも及ぶ発言であり、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2241 他の係争事件の存在
2249 その他使用者の態度
組合の要求書について組合から文書回答がないこと、団体交渉への組合の見解文が提出されていないこと、地方労働委員会にあっせん申請をしたこと等が団体交渉を拒否する正当な理由とは認められず、稲荷山センターの組合員の懲戒処分に関する団体交渉の不応諾は、労働組合法第七第二号に該当する不当労働行為に当たるとされた例。
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業種・規模 |
廃棄物処理業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集123集75頁 |
評釈等情報 |
 
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