労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(吹田工場脱退勧奨等) 
事件番号  大阪地労委 平成 9年(不)第55号 
申立人  国鉄労働組合近畿地方本部吹田工場分会 
申立人  国鉄労働組合大阪地区本部 
申立人  国鉄労働組合近畿地方本部 
被申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成14年 2月26日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)個人面談等において、職場長らをして組合脱退勧奨を行ったこと、(2)組合員13名に対して廃車解体業務への配属を行ったこと、(3)組合役員5名に対して配置転換を行ったこと、(4)組合役員3名に対して作業時に保護メガネを着用しなかったこと等を理由に一時金を減額したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、組合脱退勧奨及び組合活動非難発言を行うなどによる支配介入の禁止、組合役員3名に対する元職場への復帰、組合役員1名に対する一時金減額分の支払い、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  主   文
1 被申立人は、個人面談において、国鉄労働組合近畿地方本部吹田工場分会に
 勤務する組合員に対し、申立組合からの脱退を勧奨したり、組合活動を非難す
 る言動を行うなどして申立人組合の組織運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、国鉄労働組合近畿地方本部吹田工場分会に所属するX4、X5
 及びX6に対する平成9年7月1日付け職場間異動に係る命令をなかったこと
 とし、同人らを別表2中、元職場欄記載の職場において元の職務に復帰させな
 ければならない。
  元の職場、職務が存在しない場合は、申立人らと協議の上、相当する職場、
 職務に配属しなければならない。
3 被申立人は、X7に対する平成8年年末手当て及び平成9年夏季手当の減額
 措置をなかったものとし、減額により生じた差額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人らに対して、下記の文書を速やかに手交しなければなら
 ない。
                 記
                              年 月 日
 国鉄労働組合近畿地方本部
  執行委員長  X1 殿
 国鉄労働組合大阪地区本部
  執行委員長  X2 殿
 国鉄労働組合近畿地方本部吹田工場分会
  執行委員長  X3 殿
                      西日本旅客鉄道株式会社
                       代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第七
条第一号及び第三号に該当する不当労働行為であると認められました。今後この
ような行為を繰り返さないようにいたします。
                 記
(1)吹田工場において、平成9年に実施した個人面談で、職場長、助役らを介
  して、貴組合員に対し、貴組合からの脱退を奨め、組合活動を非難する言動
  を行ったこと
(2)平成9年7月1日付けの人事異動によって、貴組合員の役員3名を職場間
  異動し、組合活動に影響を与えたこと
5 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X8に対する個人面談における職場長の「そろそろ変わる気はないですか」等の発言は、組合脱退を勧奨していると解しうるし、「55歳以降は今のクーラー作業は継続していけません」との発言は、脱退勧奨を受け入れない場合は配転上不利益を受けることをほのめかしたものということができるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X9に対する個人面談における職場長の「考え方を変えたらどうか」等の発言は、組合からの脱退を露骨には言わないものの、脱退することを求めているというべきであるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X9及びX10に対する、職場長及び助役のビラ撒きに関する発言は、個人面談で組合員個人に対して組合活動としてのビラ撒きに抗議・批判するものであって、組合活動に対する支配介入であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X10に対する個人面談における職場長の「今の考えを変えない限り無理だよ」との発言は、組合を脱退しない限りとみることができ、組合を脱退するよう働きかけたとみるのが相当であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X11に対する勤務時間後の喫茶店における職場長の「意識の変化はどうかね」等の発言の真意は、組合脱退を示唆するものであるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X11と職場長との勤務時間後の喫茶店における話し合いは、個人面談の延長線上にあり、職場長の職務上の行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X12に対する助役の発言は、組合を脱退しない場合には職場配置上の不利益を受けることを暗に示唆し、脱退勧奨したものとみることができるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
脱退勧奨を行った職場長及び助役は別組合の組合員であるが、当該勧奨が個人面談の場で反復・継続的に行われていることから、会社の明示又は黙示の指示、少なくともその意を体して行ったものとみるのが合理的であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社は職場長らによる本件脱退勧奨を防止する方策を何ら講じておらず、会社業務の場における管理者の行為については、会社にその責任があるとされた例。

1300 転勤・配転
会社の人選に合理性があることから、鉄工3組に配属されている申立人組合員の比率がかなり高いとの事実だけでは不当労働行為とみることはできないとされた例。

1300 転勤・配転
会社が組合員X14の異動理由とする同人の作業能率が劣っていること等の主張は、同人と他の社員を比較した具体的な資料等を提示・立証する等の疎明が行われておらず、採用できないとされた例。

1300 転勤・配転
班役員4名の異動は吹田工場内での異動に過ぎず、組合活動上の支障はないとの会社の主張が斥けられた例。

1300 転勤・配転
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
3名の国労組合員である班役員を異動対象者として選定し、異動を命じたことには合理的な理由が認められず、組合を弱体化させる意図が認められるとされ、元職場に復帰させなければならないとされた例。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
本件組合員X7の組合グッズの携帯の態様が、服装の整正に反し、就業時間中の組合活動に当たるとは考えられないとされた例。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1202 考課査定による差別
会社が組合員X7の組合グッズの携帯を含む一連の言動を一体的に査定し、「勤務成績が良好でない者」として期末手当を減額措置したことは妥当性を欠くものとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
年末手当及び夏季手当の減額措置をなかったものとして、減額により生じた差額の支払いを命じた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集122集242頁 
評釈等情報   

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