労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  泰平運輸 
事件番号  大阪地労委 平成11年(不)第84号 
申立人  全日本建設交運一般労働組合関西支部 
申立人  X2 
申立人  X1 
被申立人  泰平運輸株式会社 
命令年月日  平成13年12月 5日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、①分会員2名に対し分会公然化以降配車差別を行ったこと、②別組合とのチェック・オフ協定に基づき分会員2名に対し別組合の組合費等を一方的にチェック・オフしたことが争われた事件で、①分会員1名に対する配車差別の是正及び分会公然化以降配車差別が是正されるまでの間の奨励給等の差額支払い(年5分加算)、②分会員1名に対する分会公然化以降同人が退職するまでの間の奨励給等の差額支払い(年5分加算)及び③文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1に対する配車差別を速やかに是正するとともに、平成
 9年11月20日の分会公然化以降配車差別が是正されるまでの間、被申立人
 が配車差別をしなければ同人が得られたであろう各月ごとの奨励給及び割増賃
 金(残業手当、深夜手当、早出手当、休日出勤手当のそれぞれについて個別に
 計算する)を、次の計算方法によりそれぞれ算出し、この算出額が既支払額を
 上回る場合は、その差額及びこれに年率5%を乗じた金額を支払わなければな
 らない。

  X1の各月ごとの奨励給算出額=各月ごとの全トラック運転手の総奨励給額×
  10.1%(後記表3参照)

  X1の各月ごとの算出超過勤務時間数(※1)=各月ごとの全トラック運転手
  の総超過勤務時間数×11.8%(後記表4参照)

  X1の各月ごとの割増賃金算出額=勤続給+乗務給+奨励給+諸手当/1か月
  平均所定労働時間×割増率×(※1)

2 被申立人は、申立人X2に対し、平成9年11月20日の分会公然化以降平成
 12年7月15日に同人が退職するまでの間(ただし、同人が休職した同11
 年3月4日から10月1日は除く)、被申立人が配車差別をしなければ同人が
 得られたであろう各月ごとの奨励給及び割増賃金(残業手当、深夜手当、早出
 手当、休日出勤手当のそれぞれについて個別に計算する)を、次の計算方法に
 よりそれぞれ算出し、この算出額が既支払額を上回る場合は、既支払額との差
 額及びこれに年率5%を乗じた金額を支払わなければならない。

  X2の各月ごとの奨励給算出額=各月ごとの全トラック運転手の総奨励給額×
  8.3%(後記表5参照)

  X2の各月ごとの算出超過勤務時間数(※2)=各月ごとの全トラック運転手
  の総超過勤務時間数×7.3%(後記表6参照)

  X2の各月ごとの割増賃金算出額=勤続給+乗務給+奨励給+諸手当/1か月
  平均所定労働時間×割増率×(※2)

3 被申立人は、申立人全日本建設交運一般労働組合関西支部に対し、下記の文
 書を速やかに手交しなければならない。
                 記
                             年 月 日
  全日本建設交運一般労働組合関西支部
    執行委員長    X3    殿
                     泰平運輸株式会社
                      代表取締役    Y1
  当社が、貴組合員X1氏及び同X2氏に対して、平成9年11月20日以降、貴
 組合からの抗議にもかかわらず、配車において貴組合員以外の運転手と差別し
 て取り扱ったことは、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第七条第一
 号及び第三号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このよう
 な行為を繰り返さないようにいたします。
4 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は組合の団体交渉申し入れを約半年間にわたり拒否し続けていること、分会結成に対する嫌悪の意思並びに会社の配車係の組合員に対する一連の言動及びこれを黙認ないし容認してきた会社の態度を併せ判断すると、分会長及び分会員に対する配車量の減少は、会社が、組合員に対し経済的不利益を与え、組合を弱体化することを企図してなされたものであるとされたものであり、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2803 その他
会社は、申立人組合からの本件チェック・オフを中止の申入れに対し、申入れ月以降、組合員に対するチェック・オフを中止しており、申立人組合とは別の労働組合の立場のみを尊重し、偏った措置をとることによって労使間のトラブルの原因となることのないよう双方の労働組合に配慮していることから、会社の対応に不当労働行為意思は認められず、また、会社は別組合員に対し本件チェック・オフ分を返還するよう申入れ、別組合から返還しないことも不当労働行為には該当しないとされた例。

5201 継続する行為
組合の分会長及び会と湯の配車差別は、申立日以前1年を超える分会結成公然化後の時期から行われているが、会社における配車は、会社が毎日異なった配車先を指示することにより行われていることから、会社の不当労働行為意思の下に反復連続して行われていると判断され、労働組合法第27条第2項の継続する行為に該当するとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集121集420頁 
評釈等情報   

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