概要情報
事件名 |
岩手自動車学校 |
事件番号 |
岩手地労委 平成11年(不)第1号
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申立人 |
岩手中小一般労働組合 |
被申立人 |
株式会社新岩手自動車学校 |
命令年月日 |
平成13年 6月15日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)平成10年度賃上げに関する団交において、ゼロ回答に固執するなど不誠実な対応に終始したこと、(2)組合支部長が教習生に暴言を吐いたことを理由に懲戒解雇としたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、平成10年度賃上げに関する誠実団交、組合員の解雇がなかったものとしての取扱い及びバックペイを命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人の平成10年度の賃金引上げについて、申立人に対し、 被申立人の経営実態を把握しうる決算書等を提示し、誠意をもって団体交渉に 応じなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X1に対する解雇を取り消し、原職に復帰させ、同 人に対して、当該処分がなければ受けるはずであった賃金相当額から既に支給 した額を控除した金額を支払わなければならない。 |
判定の要旨 |
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
わずか数百円の上積みのため、10回もの団交を重ねた上で、更に団交を強制する命令を求めることは、救済の域を超えて不当であり、救済の利益を欠くとする会社の主張が、本件救済申立ての趣旨は誠実な団交を求めての申立てであること、さらに妥結額の高低の問題は本件救済利益の存否の判断とはかかわりがないとして、斥けられた例。
2240 説明・説得の程度
(1)平成10年度賃上げに関する団体交渉における会社の対応は、形式的には11回と交渉回数を重ねているものの、9度目の交渉で初めて決算報告書等を組合に数分間閲覧させたにすぎなかったり、組合が納得できるような真摯な説明態度とは認められないことからすると、使用者としての誠実団交義務を果たしているとは認められず、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
0700 職場規律違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3200 不当労働行為とされた例
(2)懲戒解雇事由とされた組合支部長の教習生に対する発言は、解雇理由に相当するほど非違性が高いとは言えず、平成10年度賃上げ交渉をめぐる対立、本件団交に係る申立て等の解雇に至るまでの労使関係や時期を総合的に勘案すれば、本件解雇は、労働組合の正当な行為をしたこと、かつ、不当労働行為の救済申立てを行ったことを理由とした不利益取扱いとして労働組合法第7条第1号及び第4号に該当するとともに、組合の弱体化を意図した支配介入行為として同条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集120集118頁 |
評釈等情報 |
 
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