概要情報
事件名 |
いわき貨物自動車 |
事件番号 |
北海道地労委 平成12年(不)第11号
|
申立人 |
全日本建設交運一般労働組合北海道本部札幌地域支部 |
被申立人 |
いわき貨物自動車株式会社 |
命令年月日 |
平成13年 6月11日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、平成11年燃料手当に関する団交並びに同12年賃金改定及び夏季一時金に関する団交において、組合員の求める資料を提示する等の誠実な対応をしなかったこと、組合員名簿の提示を団交開催の条件としたこと等が争われた事件で、文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、次の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白紙に楷書で明 瞭に記載し、被申立人北海道支店の正面玄関の見やすい場所に、本命令書写し の交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。 記 当社の次の行為は、北海道地方労働委員会において、労働組合法第7条第2 号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為 を繰り返さないようにします。 記 1 平成11年度燃料手当に関する団体交渉において、経理資料を示すなどし て根拠を明らかにすることなく、支給しないとの回答に固執したこと。 2 平成12年度賃金改定に関する団体交渉において、経理資料を示すなどし て改定理由の説明をしなかったり、組合員の氏名を明らかにすることを団体 交渉開催の条件としたり、団体交渉継続中に従業員を個別に呼び出して同意 を求めて組合の交渉活動を阻害したこと。 3 平成12年度夏季一時金に関する団体交渉において、組合員の氏名を明ら かにすることを団体交渉開催の条件としたり、夏季一時金を一方的に支給し たこと。 平成 年 月 日(掲示する初日を記載すること。) 全日本建設交運一般労働組合北海道本部札幌地域支部 支部長 X1 様 いわき貨物自動車株式会社 代表取締役 Y1 2 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
2244 特定条件の固執
2300 賃金・労働時間
会社の就業規則には燃料手当を支給する旨定めた規定があり、前年度まで労使間の協定に基づいて支給されてきたのであるから、会社は、同手当を不支給とすることについて、経営資料を示すなどして、組合が理解し、納得できるよう努力をすべきであるのにこれをせず、支給しないとの回答に終始したものであるから、このような団体交渉は、誠実なものであるとはいいがたく、労働組合法第7条第2号の不当労働行為であると判断された例。
2240 説明・説得の程度
2249 その他使用者の態度
2300 賃金・労働時間
賃金制度を変更するとの会社提案は、従来の賃金制度そのものを大きく変更するものであるのに会社には組合と十分に協議しようとする姿勢が窺われないこと、会社が組合員名簿の提出を団交開催の条件として強硬に求めることは団体交渉が継続中であるにもかかわらず、会社が従業員を個別に呼び出して会社提案を承諾する旨の書面に署名・捺印を求めることは、組合の交渉活動を阻害する行為であることから、会社のこうした行為は、労働組合法第7条2号の不当労働行為に当たるとされた例。
2210 組合員名簿・組合規約不提出
2251 一方的決定・実施
夏季一時金の団交申入れに対し、会社が、組合員の氏名を明らかにすることを団交開催の条件としたり、同一時金を一方的に支給して団体交渉に応じないことは、正当な理由のない団交拒否であり、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるとされた例。
4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
4505 その他
燃料手当については、既に長期間経過し問題にされらいないこと、賃金改定については、従業員全員が各々同意した賃金制度に基づいて支給を受けていること、夏期一時金についても、従業員全員が特に異論を述べることなく支給を受けていること等からすると、現時点において団体交渉の開催を求める必要性を認めることができないとして、団交拒否に関する文書掲示のみを命じた例。
|
業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集120集71頁 |
評釈等情報 |
 
|