労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  寿鋼管ほか3者 
事件番号  大阪地労委 平成11年(不)第49号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
申立人  全国金属機械労働組合港合同寿鋼管支部 
被申立人  住金物産株式会社 
被申立人  平成鋼管株式会社 
被申立人  破産者寿鋼管株式会社破産管財人福田健次 
被申立人  寿鋼管株式会社 
命令年月日  平成13年 5月29日 
命令区分  却下(初審命令において却下の決定書が交付された場合) 
重要度   
事件概要  会社及び取引先会社が、①取引先から鋼管の供給停止等を受けたことを理由として、破産申立て及び組合員の解雇をしたこと、②会社及び取引先会社から同問題に関して組合との団交に誠実に対応しなかったことが争われた事件で、取引先会社に対する申立ては使用者でないとして却下し、会社に対する申立ては棄却した。 
命令主文  1 申立人の被申立人平成鋼管株式会社及び同住金物産株式会社に対する申立て
 を却下する。
2 申立人の被申立人寿鋼管株式会社及び同破産者寿鋼管株式会社破産管財人Y1に対する申立てを棄却する。 
判定の要旨  4916 企業に影響力を持つ者
5147 その他
会社は、経営面等において、K鋼管の影響下にあったが、K鋼管の会社従業員の労働条件要への関与の状況をみると、K鋼管に対し数回にわたって人員削減の提案をしているものの、会社は、提案通りの解雇等を行うことはない等、K鋼管会社従業員の労働条件を現実的かつ具体的に支配していたと見ることはできず、K鋼管が組合等に嫌悪意思を有していたとしても、K鋼管の鋼管供給停止措置は、経営上の理由によるものとみることが相当であり、K鋼管が組合員の労組法上の使用者であると認めることはできないから、合併によりK鋼管の地位を承継したH鋼管に対する申立ては却下するとされた例。

4916 企業に影響力を持つ者
5147 その他
S物産の指示により、K鋼管はH鋼管に吸収合併されたとの事実は認められるが、S物産との関係については資本面及び人事面の関係はなく、直接の商取引もなく、会社の従業員の労働条件は会社が決定しており、S物産が組合員の労働条件を現実的かつ具体的に支配、決定する立場にあるとみることはでないから、S物産に対する申立てはされた例。

4912 破産事業における使用者
従前より累積赤字を抱えていた会社が、K鋼管から鋼管の供給停止処分を受け、2回の不渡り手形を出したため、破産の申立てをしたことはを得ないものであり、また、組合員の解雇に関しては、従業員全員に対して解雇を通知したもので組合員を不利益に取り扱ったものではないから、本件破産申立て及び組合員解雇は不当労働行為に該当するとはいえないとされた例。

4913 破産管財人
破産管財人は、破産財団の財産管理を行う限度において労働関係上の諸利益に対して実質的な影響力ないしは支配力を及ぼす地位にあり、破産宣告前に破産会社がなした不当労働行為に伴うバック・ペイ等の金銭債務について破産会社の責任を引き継ぐものであるが、本件に関しては、前記判断のとおり寿鋼管がなした解雇は不当労働行為には該当せず、バック・ペイ等の寿鋼管の金銭債務は生じ得ないのであるから、管財人に対する申立ては棄却するとされた例。

5008 その他
会社は、支部に対して資料等を提示の上、経営状況を伝える等とともに、事前に破産申立ての考えを示していることからみて破産申立ての言及時まで誠実に対応していたとみるのが相当であり、また、それ以降破産申立ての間に組合が団交を申し入れたという疎明はないから、本件破産申立て及び組合員解雇を議題とする会社の対応に不誠実な点はないとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集120集471頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約309KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。