事件名 |
三郷市 |
事件番号 |
埼玉地労委 平成11年(不)第5号
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申立人 |
三郷市学童保育指導員労働組合 |
被申立人 |
三郷市 |
命令年月日 |
平成13年 4月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
市が、①民営の学童保育クラブの公立化に伴う指導員の継続雇用に関
する団交の申入れを拒否したこと、②公立化される児童クラブ指導員として執行委員長を採用しなかったことが争われた事件で、
①学童クラブの公立化に伴う組合員らの雇用問題に関する団交応諾、②文書手交を命じ、その余の申立てを棄却し
た。 |
命令主文 |
1 被申立人は、児童クラブの公立化に伴う組合員らの雇用問題に関
する事項について、同人らの使用者ではないとの理由で申立人との団体交渉を拒否してはならない。
2 被申立人は、申立人に対し、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
記
平成 年 月 日
三郷市学童保育指導員労働組合
執行委員長 X1 様
三郷市 市長 Y1
三郷市が、児童クラブの公立化に伴う組合員らの雇用問題に関する事項について、同人らの使用者ではないとの理由で申立人
との団体交渉を拒否したことは、埼玉県地方労働委員会において不当労働行為と認定されました。今後、このような行為を繰り返
さないよう誓約します。
3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
一般に使用者とは労働契約上の雇用主をいうものであるが、不当労働行為制度の目的が団結権の侵害の救済であることからすれ
ば、雇用主に限らず、労働関係上の諸利益に対し現実的かつ実質的に支配力を有するものについても、労働組合法上の使用者に当
たるとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
4918 自治体
民営の児童クラブ指導者の採用は父母会が行い、その労務に対し市が直接指導監督を行ったことはなく、その賃金も市が決定して
いたとまではいえないが、児童クラブの公立化に伴い父母会は指導員を解雇せざるを得ず、当該事業の遂行に不可欠な労働力とし
て組み込まれてきた指導員たる組合員がその雇用の継続を市に要望することも当然であること等を総合判断すれば、児童クラブの
公立化に伴う組合員らの雇用問題について、市は、現実的かつ実質的に支配力を有することが認められ、この限りにおいて、市は
団体交渉に応ずべき「使用者」に該当するから、市が同問題についての団体交渉を拒否したことは、労組法第7条第2号に該当す
る不当労働行為に当たるとされた例。
1500 不採用
不当労働行為制度が団結権を保障し、団結権の侵害に対する救済を目的としていることからすれば、組合活動を理由に労働者を採
用しない場合にこれを看過ごす理由は見だしがたく、しかも本件においては、市は、民営の児童クラブを公立化するに際し従前の
事業を継承するのであるから、組合活動を理由として現指導員を不採用とした場合には労働組合法7条1号の不当労働行為に該当
し得るとされた例。
1500 不採用
市の実施した採用試験は単に名目的なもの又は形骸化されたものとはいえず、試験の実施及び採点が不公正・不公平であったとは
いえないこと等からすると、事業を継続する公立児童クラブの指導員として市が執行委員長を採用しなかったことは、市が執行委
員長の組合活動を嫌悪したがゆえに同人を不採用にしたとは認めがたく、不当労働行為には当たらないとされた例。
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業種・規模 |
地方公務(市町村機関) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集119集757頁 |
評釈等情報 |
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