事件名 |
東芝 |
事件番号 |
神奈川地労委 平成 7年(不)第14号
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申立人 |
X1ら10名 |
被申立人 |
株式会社 東芝 |
命令年月日 |
平成13年 4月26日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、申立人10名の資格、仕事給の職群・等級、基準賃金、賞与
及び役職について不利益な取扱いをしたことが争われた事件で、①資格、仕事給の職群・等級、役職についてそれぞれの同期同学
歴者の中で中位者相当のものとして取り扱い及び賞与の査定を平均にあるものとして取り扱うこと、②既払額との差額相当額の支
払(年率5分相当額を加算)③文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1,同X2,同X3、同X4、同X5,同
X6、同X7、同X8、同X9及び同X10に対し、平成6年7月1日以降、それぞれの同期同学歴者の中で中位者相当の資格に
あるものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9及び同X10に対し、平成6
年度以降の仕事給の職群・等級をそれぞれの同期同学歴者の中で中位者相当のものとして取り扱い、また、平成6年度以降の昇級
及び賞与の査定を平均にあるものとして取り扱わなければならない。
3 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9及び同X10に対し、平成6
年8月30日以降、それぞれの同期同学歴者の中で中位者相当の役職にあるものとして取り扱わなければならない。
4 被申立人は、第1項ないし第3項による是正後の賃金及び賞与の額と現に支払った額との差額に相当する額に、年率5分相当
額を加算した額の金員を支払わなければならない。
5 被申立人は、本命令受領後、速やかに次の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白紙に楷書で明瞭に記載し、本社、生産
技術センター、小向工場、柳町工場及びマイクロエレクトロニクスセンターの入口付近の従業員の見やすい場所に、毀損すること
なく10日間掲示しなければならない。
記
当社が、貴殿らの資格、仕事給の職群・等級、給与、賞与及び役職について不利益な取扱いをしたことは、神奈川県地方労働委
員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
X1 殿
X2 殿
X3 殿
X4 殿
X5 殿
X6 殿
X7 殿
X8 殿
X9 殿
X10 殿
株式会社東芝
代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
0120 政治(党)活動
本件申立人らの活動は、組合員の労働条件の維持改善その他の経済的地位の向上を目指し、かつ、所属組合の自主的・民主的運営
を志向している行為と認められるのであるから、政党支部名義等を冠しての活動であるとしても、労働組合の行為に当たるものと
された例。
1202 考課査定による差別
申立人らの資格・賃金等には同期同学歴者との間に格差が認められ、当該格差は、会社がその施策と対立する申立人らの独自の組
合活動を嫌悪し、同人らの活動を封じ込め、あるいはその弱体化を意図して行ったことにより生じたものと推認され、被申立人が
挙げる申立人らの勤務ぶりは本件格差の合理的理由とはない得ないから、申立人らに対する本件不利益取り扱いは、労組法第7条
第1号及び第3号の不当労働行為であるとされた例。
4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
給与支給の一部が申立前1年以内にあると認められる以上、当該給与支給についての申立て及び当該給与を算定の基礎とする賞与
についての申立ては申立期間徒過の却下事由には該当しないとされた例。
1202 考課査定による差別
被申立人は、申立人に係る査定に関する資料を提出せず、比較対象となる同期同学歴者の能力、勤務実績等について具体的に主
張・立証していないのであるから、救済の範囲については、申立ての時期、趣旨、同種の事由について数次の申立てがなされてい
ることを勘案し、資格、仕事給の職群・等級及び役職の格差の是正については、それぞれ同期同学歴者中での中位者相当にあるも
のとして、昇級及び賞与の査定については、査定を平均にあるものとして取り扱うよう命じた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集119集679頁 |
評釈等情報 |
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