事件名 |
セントラル商工 |
事件番号 |
福岡地労委 平成11年(不)第4号
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申立人 |
全国一般労働組合 福岡地方本部 |
被申立人 |
株式会社 セントラル商工 |
命令年月日 |
平成13年 3月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、過積載拒否・時間外労働拒否闘争を実施した組合員に対し
て、肉体的疲労度の大きい場内作業を命じたこと及び時間外労働を行わせなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件
で、(1)時間外労働・休日・深夜手当各相当額のバックペイ、(2)文書掲示を命じ、その余の申立て(場内作業の指示)につ
いては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、別紙記載の申立人組合員12名に対し、それぞれ別
紙記載の時
間外手当、休日手当及び深夜手当相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、本件命令交付の日から7日以内に、下記の文書を縦55センチ
メートル、横40センチメートル(新聞紙1ページ大)の白紙に明瞭に記載し
、被申立人会社運転手控室の入口等従業員の見やすい場所に10日間掲示しな
ければならない。
記
当社が行った下記の行為は、福岡県地方労働委員会によって不当労働行為と判
断されました。
今後このような行為により、貴組合の組織運営への介入を繰り返さないよう留
意します。
記
1 平成11年5月22日から6月8日までの間、組合員12名に対し、時間
外労働を指示しなかったこと及びこれに随伴して同期間に場内作業を命じた
こと。
2 平成11年5月22日から10月23日までの間、申立人組合員に夜間作
業従事の意向打診を行わず、従事させなかったこと。
平成 年 月 日
全国一般労働組合福岡地方本部
執行委員長 X1 殿
株式会社セントラル商工
代表取締役 Y1
3 その余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
(1)労働関係調整法第13条に基づき行うあっせんと不当労働行為救済制度は異なる制度であり、組合があっせん案を受諾した
からといって、直ちに不当労働行為救済制度上の救済の申立権を失うものではないとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
(2)あっせんによる合意事項を反故にするような行為が会社にあった場合には、あっせん対象事項について紛争が解決済みとは
評価できず、不当労働行為の被救済利益は、なお存するとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
(3)小型車担当4名の分会員に対する場内作業命令については、必要性、合理性、相対性を欠き許されないものであるが、既に
あっせん受諾により解決済みであると解されるとして、この点に関する申立てが棄却された例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3102 争議対抗手段
(4)時間外労働拒否闘争を実施した分会員12名に対するあっせん受諾後1か月以降の時間外労働の不指示及びこれに伴う場内
作業命令並びに夜間作業不指示は、正当な争議行為に対する対抗措置としての相当性を欠き、分会員に対し、経済的、肉体的、精
神的不利益を課すものであり、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
あっせん受諾後1か月間程度は準備期間とみるべきで、会社のそれまでの時間外労働不指示、場内作業命令、夜間作業不指示に係
る不当労働行為としての責任は問わないこととされた例。
4407 バックペイの支払い方法
バックペイとしての時間外手当・休日手当相当額は、対象期間の各月ごとに正規運転手に支払われた時間外手当総額及び休日手当
総額を合算した額を正規運転手数で除して得られる金額と各分会員の既支給額との差額とするとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
バックペイとしての深夜手当相当額は、差別的扱いがされた直前14か月間の夜間作業従事総回数に対する各分会員の従事割合を
算出し、救済対象期間に全従業員に支払われた深夜手当支給総額に各分会員の算出従事割合を乗じた額を算出し、当該算出額とす
るとされた例。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集119集501頁 |
評釈等情報 |
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