事件名 |
木村電熔器製作所 |
事件番号 |
愛知地労委 平成11年(不)第4号
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申立人 |
全労連・全国一般労働組合愛知地方本部木村電熔器製作所支
部 |
被申立人 |
株式会社 木村電熔器製作所 |
命令年月日 |
平成13年 1月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①平成10年一時金、11年賃上げ、役付手当の廃止等6項
目に関する団体交渉に正当な理由なく応じなかったこと、②組合結成通知等の就業時間内の組合活動を理由に、組合員5名の賃金
カットが争われた事件で、①役付手当の廃止に関する団交応諾、②組合員5名の賃金カットがなかったものとして取扱い、バック
ペイ、③文書手交を命じ、その余の申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成11年4月21日に申し入れた役付手
当の廃止に
関する団体交渉に、自らの立場を申立人に説明し交渉の進展に努めるなどして
誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人の組合員であるX1始め5人に対し行った「賃金カットの
対象となった欠勤日時」欄に係る賃金カットをなかったものとして取り扱い、
そのカットした賃金相当額を同人らにそれぞれ支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記内容の文書を本命令書交付の日から7日以
内に交付しなければならない。
記
当社が、貴組合から申入れのあった平成10年度冬期一時金、平成11年度賃
上げ、組合事務所の貸与及び役付手当の廃止に関する団体交渉に応じなかったこ
と、平成10年7月28日に組合員であるX1氏始め5人の賃金をカットしたこと
は、いずれも労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると愛知県地方労働
委員会によって認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
年 月 日
全労連・全国一般労働組合愛知地方本部木村電熔器製作所支部
執行委員長 X1 様
株式会社木村電熔器製作所
代表取締役 Y1
4 その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2250 未妥結・打切り・決裂
夏期一時金に関する団体交渉については、第5回までの団交において誠実に交渉を重ねていたところ、第6回団交に至り、会社は
これ以上交渉が進展する見込みがないとして、団交を打ち切ったとみることができるから、その後の団交要求に会社が応じなかっ
たとしても、団交を拒否したということはできず、不当労働行為に当たらないとされた例。
2242 回答なし
冬期一時金に関する団体交渉については、組合が5回にわたって申入れを行っているが、これらの申入れに会社が応じて団交が開
催されたとの事実を認めることはできず、また、団交を拒否する正当な理由があったとの疎明もなされていないことから、労働組
合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2242 回答なし
賃上げに関する団体交渉については、組合が4回にわたって申入れを行っているが、これらの申入れに会社が応じて団交が開催さ
れたとの事実を認めることはできず、また、団交を拒否する正当な理由があったとの疎明もなされていないことから、労働組合法
第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2242 回答なし
組合事務所の貸与に関する団交については、会社は第1回から第6回の団交まで組合が求める旧現場事務所は貸与できない旨、具
体的理由を説明するなどして誠実に団交に応じていたことが認められるが、第6回団交終了後は、組合が、5回にわたって申入れ
を行っていたにもかかわらず、会社がこれに応じて団交の事実を認めることはできず、また、団交を拒否する正当な理由があった
との疎明もされていないことから、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2242 回答なし
役付手当廃止に関する団交については、団交が開催されたとの事実を認めることはできず、また、団交を拒否する正当な理由が
あったとの疎明もなされていないことから、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
組合の役付手当の復活の要求に対し、会社は、会議にかけて返答する旨を回答するのみで、何ら実質的な回答をしておらず、会社
の交渉態度には、交渉の進展に努めようとの姿勢をうかがうことができないことから、会社の交渉態度は不誠実であったといわざ
るを得ず、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
従来、会社は就業時間中の不就労を欠勤として扱い、賃金カットを行ったこと等はなく、本件賃金カットは従来からの慣行に反し
ていること、組合結成直後の組合役員の行為のみを対象としていることから、組合結成を契機に組合を敵視するに至った会社が、
組合員の活動に対して報復する意図で、組合員を不利益に取扱い、もって組合活動を弱体化させるために行ったとみるのが相当で
あり、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
組合の副委員長及び書記長は、本件結審時には会社を退職し、組合を脱退しているが、積極的に利益を放棄する旨の意思表示や組
合の救済申立てを通じて利益の回復を図る意思のないことを表明したとの事情は認められないことから、救済の対象とするのが相
当であるとされた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集119集128頁 |
評釈等情報 |
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