概要情報
事件名 |
丸功興運 |
事件番号 |
神奈川地労委 平成10年(不)第8号
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申立人 |
港湾労働組合 |
被申立人 |
丸功興運株式会社 |
命令年月日 |
平成11年12月24日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合分会公然化以降に(1)分会長らに対し残業時間を著しく減少させたこと、(2)平成9年年末賞与、平成10年夏季賞与等において低い査定を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で会社に対し、(1)時間外勤務時間の差別の禁止、(2)平成9年年末賞与等の査定の平均値を用いて再計算して得られた額と、実際に支払われた額との差額(年5分加算)の支払い及び(3)文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1およびX2に対して時間外勤務を命ずるに当たり、同人らが申 立人組合員であること、あるいは組合活動を行ったことを理由に、本社事業所に 勤務する自動車運転手と差別をしてはならない。 2 被申立人は、申立人組合員のX1、X2及びX3に対し、同人らに係る平成9年年 末、平成10年夏季及び同年年末の各賞与を次により再計算の上、それにより得 られた額と現に支払った額との差額に相当する額に、年率5分相当額を加算した 額の金員を支払わなければならない。 (1)X1 X1に係る各賞与の査定部分について、被申立人に勤務する自動車運転手の当該 賞与における査定の平均値を用いること。 (2)X2 ア X2に係る各賞与の査定部分について、被申立人に勤務する自動車運転手の 当該賞与における査定の平均値を用いること。 イ 平成9年年末賞与計算中の「d」について、0.2とすること。 (3)X3 X3に係る各賞与の査定部分について、被申立人に勤務する作業員の当該賞与に おける査定の平均値を用いること。 3 被申立人は、本命令受領後、速やかに縦55センチメートル、横80センチ メートルの白紙に下記のとおりかい書で明瞭に大きく記載し、被申立人本社の見 やすい場所に、き損することなく10日間掲示しなければならない。 記 当社が、貴組合員に対し、時間外勤務を命じるに当たり、また、平成9年年末、 平成10年夏季及び同年年末の各賞与の査定において差別したことは、神奈川県 地方労働委員会において労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為である と認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 港湾労働組合 執行委員長 X4 殿 丸功興運株式会社 代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
組合分会長らと他の同僚運転手との残業時間の格差が、分会公然後に大きくなっているのは、会社が団体交渉時の発言を受けて、意図的に軽い仕事を担当させたためと認められ、また、あっせんによる六項目協定の締結後においても、協定のとおりの残業時間が確保されず、会社の協定の実現に向けた努力も認められないことから、こうした残業時間の格差は、労組法七条一号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1202 考課査定による差別
組合分会長らの賞与の従業員中の相対評価は、分会公然化後順位を大幅に下げられていることが認められ、また、同人らが低査定とされた項目の評価について、具体的な内容を把握していなかったり、その疎明が十分なされないなど、評価の正当性には疑問が多く、賞与の査定における格差は、労組法七条一号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
廃棄物処理業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集493頁 |
評釈等情報 |
 
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