労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日高運輸 
事件番号  茨城地労委 平成10年(不)第2号 
申立人  日高運輸労働組合 
被申立人  日高運輸株式会社 
命令年月日  平成11年10月 8日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合員への脱退勧奨を行い、組合員数を半数以下まで減少させたこと、(2)組合員3名を収入の安定した職場から仕事量の少ない職場に配置転換し収入を減少させたこと、(3)組合員の配置転換によって、従前組合員2名が担当していた職場を3名に増員し、完全歩合制であった2名の収入を減少させたこと、(4)円満な労使関係の確立や、配置転換問題等について申入れた団体交渉を拒否していること、(5)組合に結成当初から加入したことを理由として組合員1名を解雇したことが、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で会社に対し、(1)組合員に対し脱退を勧奨しないこと、(2)組合員1名する配置転換命令を撤回し、原職復帰させること、(3)組合との団体交渉を正当な理由なく拒否しないことを命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人日高運輸株式会社は、申立人日高運輸労働組合の組合員に対し、申立人組合からの脱退を勧奨してはならない。
2 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成10年2月2日付け配置転換命令を撤回し、原職に復帰させなければならない。
3 被申立人は、申立人組合との団体交渉を正当な理由なく拒否してはならない。
4 申立人らのその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2621 個別的示唆・説得・非難等
(1)会社に対する組合結成通知後、組合員が会社から借金の返済額の増額を迫られる等会社から組合を脱退するように圧力を受けていたことが推認され、組合員数が急激に減少しており、このような脱退勧奨は、組合の弱体化を意図してなされた支配介入であると認められ、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
(2)組合員のダンプ乗務からタンク車乗務への配置転換は、会社の中でも収入が安定しており、比較的恵まれた立場にあったダンプ乗務の従業員までもが組合に加入したことに反感を抱いた会社代表取締役が、組合員に対し、不利益となる配置転換を行ったものと推認するのが相当であり、労働組合法第七条第一号に該当する不当労働行為であるとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
(3)不当労働行為に対する救済を受けるためには、申立後も被救済利益が存続していることが必要であり、増員により収入が減少したとの申立については、会社が従来の2名担当制に戻しているため、既に被救済利益が失われており、不当労働行為の存否について判断するまでもなく、理由がないとされた例。

2240 説明・説得の程度
(4)団体交渉において、組合の要求する円満な労使関係の確立や配置転換問題については合意されておらず、被救済利益も未だ存在していると考えるのが相当であり、会社が仕事にならないなどとの理由で、交渉の席につくことを拒否しているのは、極めて不誠実であるとともに、正当な理由なく、申立人組合との交渉を拒んでいたものと認めざるを得ず、労働組合法第七条第二号に該当する不当労働行為であるとされた例。

0500 勤務成績不良
(5)組合員1名の解雇について、会社から組合結成を知る以前に既に勤務態度を理由とする解雇の話が出されており、これが撤回されて、職場に復帰したにもかかわらず、勤務態度の改善が見られなかったことが、本件解雇の決定的な動機であったと推認でき、よって本件解雇は会社の就業規則に基づくものであり、同解雇を組合加入を理由とした処分であり不当労働行為であるとする申立人らの主張は採用できないとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集115集137頁 
評釈等情報   

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