概要情報
事件名 |
五輪 |
事件番号 |
滋賀地労委 平成 9年(不)第3号
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申立人 |
京都地域合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社五輪 |
命令年月日 |
平成11年11月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が(1)これ以上の進展は望めないとして、夏季賞与等に関する団交に応じなかったこと、(2)組合脱退および退職を強要したこと、(3)夏季賞与を減額支給したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、団交応諾、支配介入の禁止、夏季賞与減額分の支払い及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合から平成9年6月19日に申し入れのあった団体交渉に誠実に応じなければならない。 2 被申立人は、申立組合員に対して組合脱退や退職を強要したり、被申立人従業員の組合加入を妨害したり、行政事務組合職員による、これらの者に対する組合活動や労務管理に係る言動を利用するなどして申立人の組合活動に支配介入してはならない。 3 被申立人は、申立人組合員に対する平成9年の夏季賞与の減額がなかったものとして取り扱い、同人らに対し、減額した金額を支給しなければならない。 4 文書手交。 5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2302 労務管理・労使関係
過去3回の団交によっても合意に達していない労働条件について、さらに団交による解決を求めているのであり、組合が交渉を求める背景に会社の法令違反を問題にしていたとしても、会社は交渉の場でこれに反論すれば足りることであるから、団交に応じる義務があるとされた例。
2230 不穏当な態度
団交のやりとりの結果、当日の交渉を継続し難い雰囲気になったことは推測できるが、組合が一方的に以後の団交を打ち切ったものとまでは認められないとされた例。
2240 説明・説得の程度
会社は組合の要求に対し、受諾し、譲歩する義務を負うものではないが、交渉議題については説明を尽くし、説得の努力をしなければならないことはいうまでもないのに、会社は組合に対し、具体的な説明・説得をすることなく、交渉の余地はなくなったと主張しているにすぎないとされた例。
2230 不穏当な態度
就業規則の届出等に関し、労使双方が十分な知識を持ち合わせていなかった状況の下で、団交が紛糾したものであり、組合が会社の法令違反を主張し、会社が回答に窮する状況にあったとしても、組合の主張は、詐術的、脅迫的言辞とまでは言えないとされた例。
2230 不穏当な態度
組合員の発言が直ちに秩序ある団交が期待できないと判断できるほどの著しく不都合なものとは言えないとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
団交拒否後に労使交渉の事実や接触の事実があったとしても、その形態・内容は団交なのか単なる話し合いなのか、団交であったとしても会社の対応は誠実なものであったのかについて会社の説明がなく、組合に救済される利益がなくなったとまでは言えないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2302 労務管理・労使関係
会社は、過去3回の団交において回答の経緯や根拠について十分な説明のないまま当初の回答を繰返すばかりか、就業規則については案であることを確認しておきながら以後の交渉を拒否したことは不誠実な団交であるとされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
教育指導係長といえどもその言動は、会社の承知または黙認のもとになされたものであり、会社の意を体したものと評価せざるを得ず、これを速やかに取り消すことなく放置してきたことは、会社の支配介入にあたるとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
組合員に退職を求めたり配置転換発言をするなどの言動、組合に加入意思のある者に対して職員間のトラブルで暴行を受けた際の診断書の提出を求める等の言動は、組合員としての活動や組合加入に警告を発し、牽制するものであり、身分上・精神上の不利益取扱いにあたるとされた例。
1202 考課査定による差別
賞与の査定基準の有無・内容も明らかにせず、客観的な比較資料の提示や説明も行わないまま、解決済みの過去の出来事等に基づき賞与を減額したことは、減額は組合活動によるものとの疑念を抱かせる状況と併せ考えると、組合員に対する不利益取扱いであるとされた例。
0125 組織・職場活動(含証人の行為)
3200 不当労働行為とされた例
3300 不当労働行為とされた例
地労委審問出頭を公休により予定していた組合員に対し、審問日前日になって休日の振替を求めたことは、救済申立てを行ったことや委員会における発言を理由とする不利益取り扱いであるとされた例。
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業種・規模 |
その他のサービス業(他に分類されないサービス業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集368頁 |
評釈等情報 |
 
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