概要情報
事件名 |
和泉警備保障・高石市 |
事件番号 |
大阪地労委 平成10年(不)第16号
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申立人 |
和泉警備保障労働組合 |
申立人 |
泉州地方労働組合連合会 |
被申立人 |
高石市 |
被申立人 |
和泉警備保障株式会社 |
被申立人 |
高石市教育委員会 |
命令年月日 |
平成11年10月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)市内の小中学校の警備業務が機械警備へ切り替わることを理由とした解雇予告により、組合結成の準備をした従業員らに対して組合への加入を妨害したこと、(2)同問題に関する団交を拒否し、解雇通告をしたこと、市及び市教育委員会が、(3)雇用関係にはないとして団交を拒否したことが、それぞれ不当労働行為に当たるとして争われた事件で、会社に申立人に対する誓約文の手交(団交拒否、組合結成妨害、脱退慫慂の禁止)を命じ、市及び市教育委員会に対する申立については、市は使用者性がないとして、また同市教育委員会は被申立人適格は有しないとして却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人和泉警備保障株式会社は、申立人泉州地方労働組合連合会及び和泉 警備保障労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 泉州地方労働組合連合会 執行委員長 X1 殿 和泉警備保障労働組合 執行委員長 X2 殿 和泉警備保障株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第七 条第二号及び第三号に該当する不当労働行為と認められました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)平成10年3月16日付け、同月30日付け及び4月13日付けで申し入 れのあった団体交渉に応じなかったこと。 (2)平成10年3月8日から同月15日までの間に従業員に対して、「大事な 入札を控えているので高石市を刺激しないでくれ」などと告げ、労働組合を結成 しないよう働きかけたこと。 2 被申立人高石市及び被申立人高石市教育委員会に対する申立は却下する。 3 申立人らのその他の申立は棄却する。 |
判定の要旨 |
4905 経営補助者
4918 自治体
市教育委員会は市の組織の構成部分に過ぎず被申立人適格を有しないとされた例。
4918 自治体
市はX2夫婦の労働条件等を現実的かつ具体的に支配決定しているとはいえないことから、市は労働組合法上のX2夫婦の使用者には当たらないとされた例。
2620 反組合的言動
小中学校に住み込みで働く従業員に対する「大事な入札を控えているのでT市を刺激しないでくれ」との発言は、組合結成を牽制する行動に出たものと認められ、その結果として組合結成参加予定者のうち10名程度を脱落させたものであって、かかる会社の行為は組合活動に対する支配介入であるとされた例。
1107 その他
団交に応じないまま、組合員を解雇したのは、会社が警備業務等を落札できず業務を喪失したことによるとみるのが妥当であり、解雇の対象者も組合員のみでなく学校の警備業務に従事する従業員全員になされたものと認められることから、本件解雇は不当労働行為とは認められないとされた例。
2245 引き延ばし
2301 人事事項
組合員の解雇問題に関する団交申入れに応じていないことについて、業務等の入札時期に当たり事態が流動的であったとしても、少なくとも団交を開催してその間の事情を組合に説明すべきであり、団交を開かないことに正当な理由を認めることはできず労組法七条二号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
本件申立て後、解雇された翌日から引き続いて、会社で働いていたのと同一の労働環境の下で臨海パトロールにアルバイトとして雇用されたこと、いったん正式採用を前提として働き始めたが、X2本人に起因する事情によって離職に至ったことを考慮すると、X2の解雇撤回を議題とする団交を改めて命じることは相当でないとされた例。
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業種・規模 |
その他の事業サービス業(建物サービス業、民営職業紹介所、警備業等) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集199頁 |
評釈等情報 |
 
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