概要情報
事件名 |
イー・ディー社外1社 |
事件番号 |
東京地労委 平成 8年(不)第3号
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申立人 |
ED労働組合 |
被申立人 |
株式会社イー・ディー社 |
被申立人 |
株式会社イー・ディーアートセンター |
被申立人 |
株式会社イー・ディーメディアファクトリー |
命令年月日 |
平成11年 7月 6日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、申立人組合員の出向元・株式会社イー・ディー社及び出向先会社・株式会社イー・ディーアートセンターが、業務不振を理由に(1)組合員全員(5名)を解雇し、その後両社は自己破産したこと、(2)解雇前の組合員の賃金を支払っていなかったこと、また、グループ会社のイー・ディーメディアファクトリーが、申立人組合の申し入れた解雇撤回、未払い賃金の支払い等に関する団体交渉を拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1700 偽装解散
3105 事業廃止、工場移転・売却
3社の分社化は組合結成以前に決定されており、分社後も各々に業務を行っていたこと等から、3社が実質的に一企業であったとは認められず、またイー・ディー社及びアート社の自己破産は、(1)営業力のある中核的メンバーの退職及びバブル崩壊による売り上げの激減、(2)従業員の相次ぐ退職、(3)メディア社からの業務委託費の滞納等の理由により、経営が困難になりY1社長が事業継続を断念したためと認められることから、分社から自己破産に至るまでの会社の行為が組合を排除することを目的とした不当労働行為ではないとされた例。
1106 契約更新拒否
1800 会社解散・事業閉鎖
解雇の主な原因は両社の経営の悪化等の事情にあり、組合と事前協議を行わなかったという会社側の不備や、活発な組合活動がY1社長の事業継続意欲の喪失に影響したこと等が認められるとしても、組合排除を狙った不当労働行為とは認められないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
賃金不払いの主な原因は、事業を休止した両社の資金繰り事情にあり、組合員に対する不利益取扱いまたは支配介入であるとは認められないとされた例。
2130 雇用主でないことを理由
メディア社は他2社からは独立した法人であり、(1)組合員はメディア社から指揮監督を受け、労務を提供し、賃金を支払われたことは全くなかったこと、(2)メディア社社長Y2が、団体交渉に出席したり、組合が使用者性の証左と主張する言動をしたのは、イー・ディー社の役員としての行為と認められること等から、メディア社が使用者に当たるとは認められないとされた例。
4912 破産事業における使用者
4913 破産管財人
イー・ディー社及びアート社は申立て以前に破産宣告を受けており、両社の財産処分権限は破産管財人にあるため、両社は被申立人適格を欠くとの会社主張に対し、会社が破産宣告を受けてその手続きが進行している場合は、当該会社の被申立人適格は、申立人の請求する救済内容ひいては救済命令を発する際の主文との相関関係において判断されるべきであるが、本件では申立てを棄却する主文であるので、判断を示すまでもないとした例。
4909 事業分離後の新企業体
組合員との間に労働契約も労使関係も成立していないメディア社は被申立人適格を欠くとの会社主張に対し、「使用者」とは、形式的には雇用主といえない者であっても、労働者の基本的な労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定することができる地位にある場合には、使用者に当たるものとして取り扱うことが適当であるとして、実体審査を経る前にメディア社が使用者に当たらないとは判断できないとした例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集114集375頁 |
評釈等情報 |
 
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